英語と日本語がシームレスに行き来する、刺激的な音楽体験『Animaru』(メイ・シモネス)
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。今回は、以前より耳の早い音楽ファンのあいだで注目を集めていたシンガーソングライター兼ギタリスト、メイ・シモネスが発表した待望のファーストアルバム『Animaru』。
文・高橋芳朗
以前より耳の早い音楽ファンのあいだで注目を集めていたシンガーソングライター兼ギタリスト、メイ・シモネス。7月には『FUJI ROCK FESTIVAL’25』への出演で来日する彼女が待望のファーストアルバム『Animaru』を発表しました。
日本人の母とアメリカ人の父を持つメイ(芽衣)はミシガン州出身、現在はニューヨークに拠点を置く24歳。11歳でギターを弾き始め、高校生のときにジャズと出会った彼女はかの名門、ボストンのバークリー音楽大学に進学してジャズギターを専攻。卒業後は日本語幼稚園の先生として働きながら音楽活動を行なっていたそうです。
そんなメイが織り成す音楽は、自由奔放で変幻自在。本人の「ジャズとボサノバにインスパイアされたインディーJ-POP」という説明にもあるように、さまざまなジャンルが交錯していくサウンドは独創的なひらめきに満ちあふれています。
英語と日本語がシームレスに行き来する歌詞もまた、メイの音楽の神秘性を際立たせている要素のひとつ。「Zarigani」「Tora Moyo」「Sasayaku Sakebu」などの曲名からもうかがえる摩訶不思議な言語感覚は、まちがいなく唯一無二でしょう。
タイトルの『Animaru』(念のため、『Animal』ではなく『Animaru』です)に示唆的ですが、これは直感のおもむくままに生み出されたアートゆえのスリルに彩られた傑作。刺激的な音楽体験、約束します。
『クロワッサン』1143号より
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