【気軽に始める大人の山歩き】イラストレーター・後藤郁子さんと登る筑波山 vol.1
撮影・黒川ひろみ 文・新田萱子 イラストレーション・後藤郁子 取材協力・古園麻子
初めての山歩きに挑戦するなら、まず目指したいのが身近な低山。首都圏にも数あるが、中でも茨城県の筑波山は、東京から2時間程度でアクセスできる上にケーブルカーとロープウェイが完備。日本百名山のひとつでありながら、どんなレベルのハイカーでも楽しめる懐の深い山として知られている。
今回、この筑波山を歩いてみたのはイラストレーターの後藤郁子さん。30代後半から山に親しみ、今も創作活動の合間によく低山に出かけるという。
早朝、つくばエクスプレス終点のつくば駅からバスに乗って筑波山神社入口へ。バス停の向かいの観光案内所でイラストマップをもらう。後藤さん、山梨在住ということもあって実は筑波山に登るのは初めて。マップにある代表的な6つのコースを見て思案ののち、筑波山にある2つのピーク、男体山と女体山の間の「御幸ヶ原(みゆきがはら)」までケーブルカーに沿って続く、2.1kmの御幸ヶ原コースにトライすることにした。
「やや健脚向きと聞いたので、ゆっくり行きたいと思います」
樹齢数百年の杉の木がそびえる神秘的な山の中へ
観光案内所から歩いて数分の筑波山神社でお参りを済ませ、境内にある登山道入り口へと向かう。念入りにストレッチを行ってから鳥居をくぐり、いざ、出発。前日までの雨で濡れた木々の間から、うっすらと陽の射す爽やかな空気の中、木の根が幾重にも横たわる登山道を登っていく。
「気持ちいいですね。いつも登る山梨の山とは植生が違うのも面白いです」
時々足を止め、目に留まった花や木の実などをスマホで撮影する後藤さん。山で見つけた小さな風景を、切り絵で表現することも多いという。
ゆるやかだった道はやがて斜度を増し、ところどころ岩のある場所も。
「思ったより登りがいがあります(笑)。でも登山道がきちんと整備されているので安心。さすが百名山です」
ケーブルカーの中間地点の近くでひと休み。暑くなりそう、とジャケットの中の薄い上着を1枚脱ぐ。速乾性のある半袖Tシャツの上に長袖のシャツや上着を数枚重ね、気温に応じて脱ぎ着するのが定番スタイルだという。
「汗をかくとその後冷えて寒くなるので、服装は早めに調整します」
再び歩を進めると、コースの3分の2ほどの地点に市内を流れる男女川の源流が。周囲には樹齢数百年の立派な杉の木が出現。少し前から出始めた霧と相まって荘厳な雰囲気が漂う。
「筑波山が、ご神体とあがめられてきた理由が分かる気がします」
さらに進むと現れるのは丸太の長い階段。ここまで来ればあとひと息だ。
『クロワッサン』1163号より
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