京都ならではの食文化がギュッと詰まった寿司とお弁当
予約したお弁当を楽しみに、わざわざ足を運ぶのも、老舗が多い街ならでは。暖簾をくぐり、店の設えを知れば、味わいがもうひとつ深くなる。
撮影・西岡 潔 文・齋藤優子
桂|御菓子司 中村軒「赤飯」
和菓子の名店が作る、きび殻で色づけした赤飯。
餅菓子も赤飯も、もち米と小豆を扱う仕事。餅菓子が旨い店は赤飯もしかり。中でも〈麦代餅(むぎてもち)〉で知られるここのはんなり朱色の赤飯は格別だ。赤飯にはたかきびの殻で色と香りをつけていた歴史がある。小豆の煮汁で色づけする店が多い中、5代目店主は「ひなびた雑穀の香りが、もち米の甘さを引き立ててくれる」と、いまでも無農薬のきび殻を取り寄せ、その煮汁に半日ほどもち米を浸して作る。おこわの名のごとく硬めにむっちり炊かれた赤飯は、噛むほどに甘味を感じ、飽きるどころか、箸が止まらない。
◆京都市西京区桂浅原町61
TEL.075・381・2650
営業時間:10時〜17時 水曜休
祇園四条|東華菜館 本店「雅」
ひとりで京中華三昧!を叶えてくれる老舗の弁当。
京都のグルメアドレスになりつつある京中華だが、少人数だとあれこれ頼めないのが難点。そこで、1945年創業の北京料理店が作るこの弁当である。北京料理のルーツとされる山東料理。その山東省出身の初代より代々、京都人の好みに合うよう進化させてきた品々が、店内と変わらぬ味で11種! 薄焼き卵で、筍や豚肉を巻いた1番人気の春巻きをはじめ、大ぶりの豚肉に甘酢あんを絡めた酢豚、エビチリ、海老団子……。いまも手動式エレベーターが活躍するレトロな洋館で受け取るのもまた、心が躍る。
◆京都市下京区斎藤町140・2
TEL.075・221・1147
営業時間:11時30分〜21時LO(平日15時〜17時クローズ) 週1不定休
『クロワッサン』1137号より
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