鮮度の見極め方、適した調理法は?意外と知らない魚の疑問に答えます。
イラストレーション・中島陽子 文・長谷川未緒
Q1.おいしい魚の見極め方は?
A.鮮度が大事。ハリ、つや、色をしっかりチェック。
魚の鮮度は次のポイントで見極めよう。「身にハリがあり、皮がつややかで、目や身の色がきれいなものを選びましょう。身がだらっとゆるんでいたり、しぼんでいたりする魚は水分とともに旨みが逃げています。色がにごっている魚も、鮮度が落ちているので注意を」
[一尾]
[切り身]
[サク]
Q2.切り身の半月型と弓型はどう使い分ければいい?
A.脂がのっているのが弓型、骨取りが簡単なのが半月型。
鮭などの切り身の形が違うのは部位が異なるから。「弓型は頭に近く、くぼみは内臓があった部分なので脂がたっぷりで、焼き魚におすすめ。半月型は尾に近く、骨が外しやすいのが特徴。脂が少ないため時間が経っても味が落ちにくく、おにぎりの具にいいですよ」
[弓型]
・肉でいうとカルビ
・脂がのって身がふっくら
・シンプルな塩焼きに
[半月型]
・肉でいうとロース
・身に弾力がある
・混ぜご飯やおにぎりに
Q3.魚売り場での調理はどうお願いすればいい?
A.その魚で作りたい料理を伝えるとスムーズ。
多くのスーパーで、頭・内臓取り、二枚・三枚おろし、開き、サクのスライスの調理が可能。「スーパーで調理してくれることを知らないのは損! 調理法がわからなくても『アジフライを作りたいんですけど』などと用途を伝えれば大丈夫です」。夕方は調理スタッフがいない場合も多く、空いている午前中がお願いしやすい。
Q4.自然な育ちの天然魚と人の手で育つ養殖魚、 味に違いはある?
A4.天然魚は旨みがあり、養殖魚は身が柔らか。
「海や川を泳ぎ回る天然魚は身が締まっています。旬には脂ものり、旨みや香りが強いので生食がおすすめ。価格や品質が安定している養殖魚は、身が柔らかいので焼き魚や煮魚に」。養殖魚も技術が進みおいしくなっているので、時季や調理法で使い分けるといい。
Q5.冷凍ものと解凍もの、どちらを選べばいいの?
A.保存するなら冷凍もの、すぐ使うなら解凍ものを。
水揚げしてすぐ船内で急速冷凍しているため、鮮度がよく、安くておいしい冷凍魚。「解凍ものは再度冷凍することができないため、その日にすぐ調理したい場合に選び、保存したい場合は冷凍ものを。旨みが逃げないよう、解凍するときはチルド室でゆっくりが鉄則」
Q6.塩鮭に甘口と辛口があるのはなぜ?
A.塩分濃度の違いなので、用途で使い分けて。
保存性を高め、旨みを凝縮させるために塩水に漬けられた塩鮭は、塩分濃度によって3%以下を甘口、3〜6%を中辛口、6〜10%を辛口と分けることが多い。「身が柔らかい甘口はムニエルやフライ、少し下味をつけるだけで味が決まる中辛口は竜田揚げなどに。塩気がきいた辛口はおにぎりや混ぜご飯、大根おろしを添えた焼き魚におすすめ」
Q7.釜揚げしらすとちりめんじゃこの違いは?
A.どちらもいわしの稚魚で、水分量で呼び名が変わる。
しらすを茹でた「釜揚げしらす」、その後乾燥させた「しらす干し」、さらに乾燥させた「ちりめんじゃこ」は食感と旨みが違う。「柔らかくやさしい甘みの釜揚げしらすは、そのまま丼やあえ物に。しっとりして旨みがあるしらす干しはさっと火を通すパスタや卵焼きに。噛むほど旨みが増すちりめんじゃこは、調味料感覚でふりかけやじゃこ炒めに」
Q8.買い物後、鮮度をキープしながら持ち帰るには?
A.氷や保冷剤を魚の上に。冷やしながら持ち帰ろう。
「魚の身をつぶさないようバッグの上のほうに置く人が多いですが、保冷剤がないと太陽光で傷む原因に。冷気は上から下に流れるため袋に入れた氷や保冷剤を魚のパックの上に置きましょう」。保冷バッグを使えば、より鮮度が落ちにくく、ドリップも出づらい。
『クロワッサン』1119号より
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