素敵な動画作品をスマホひとつで作るための、撮影上達のコツ。
素敵な動画作品はスマホひとつで作れます。
まずは撮影上達のコツをご紹介。
撮影・小川朋央 スクリーンショット・JEMMA イラストレーション・小野寺光子 構成&文・河野友紀 ※この記事ではiPhone(iOS)の画面を掲載しています。
撮りっぱなしはもう卒業。見せたくなる動画は手軽に作れます。
「眼の前の素敵な景色を後から見返せるという意味では写真も楽しいのですが、動画はそこに音や動きが加わるので、その場の空気まで鮮やかによみがえる。私は動画を撮るようになり折々見返すたびに、いつも“撮影しておいてよかった”としみじみ思います」
というのは、動画クリエイターのJEMMAさん。一見難しそうな動画の撮影や編集だが、スマホ1台でできる上、実はとても簡単で、ハードルは決して高くないという。
「撮影に関しては、下から見上げる、グッと近寄る、など、いつもの目線とは別の位置から撮ってみるだけで、見たことのない映像が見られます。さらに、そういう動画を例えば3本ただ繋げれば、それはもう立派な動画作品。しかも、極端に言えばアプリに読み込みさえすれば動画は簡単に繋がります。
私も講師として動画編集を教えることがありますが、撮った動画を繋げる、たったそれだけでとても大きな達成感が得られ、『もっと動画が撮りたくなった』と皆さんおっしゃいます。日常スマホを使っている人であればきっとできるはずなので、ぜひトライしてみてください!」
\撮影前に/スマホの設定を確認しよう。
iPhoneであれば[設定]から[カメラ]をタップし、ビデオと撮影画面に関する設定を確認する。
ビデオの録画設定を「1080p HD/60 fps」にする。
ホーム画面から[設定]を選んでタップ、[カメラ]をタップし、[ビデオ撮影]をタップ。ここで撮影する動画の画質を選ぶ。
↓
[1080p HD/60 fps]を選択。1秒間60コマで撮影をする設定で、スローモーションにしてもきれいに。
「グリッド」と「水平」をオンにする。
[設定]→[カメラ]をタップした画面で、画面にガイド線を表示する[グリッド]をオンにし、[水平]もオンにして水平線を表示。
【撮影】
もちろん[カメラ]を起動し[ビデオ]を選び、赤いボタンを押せば誰でも撮影は可能。でもせっかく撮るなら、素敵な動画にしたい!
「例えばスマホを構えるときの姿勢や、カメラを持った体の動かし方などを覚えるだけで、格段に動画の出来は変わります。いずれも簡単にできる些細なことですが、意識しないとなかなか気が付かないもの。ぜひ左の撮影の心得を読んでから、スマホを持って被写体と向き合ってみてください。今までなんとなく撮っていた動画とは一味違う、ちょっと洗練されたものが撮れるはずです」
心得|撮影するときには、こんなことを気にかけよう。
◎上手に撮るための基本姿勢。
動画で一番避けたいのが、ブルブルとブレてしまうこと。そのためにはカメラをしっかり持ち、安定した姿勢であまり動かないことがまず大事。
◎カメラを動かすときは、手だけ を動かさず、体ごと動かす。
撮影しながら被写体に近づいたり被写体の周りを動く場合、カメラを持つ腕だけ動かすとブレてしまう。腕ではなく、体ごと動くことを意識して。
◎ワンカットは10~15秒で撮る。
撮り始めは誰でも迷いが。数秒経つうちに構図が定まってくるので「少なくとも10秒程度は撮るようにするといいですよ」(JEMMAさん)。
◎常に〝水平〟をしっかり意識する。
画面の真ん中に出る水平線は、水平がとれていると黄色に、とれていないと白に色が変化。撮影しているときはそこを見ながら、傾かないよう注意を。
◎移動するときは、ゆっくりと。
歩いて撮影する場合は、カメラがブレないようにゆっくり動くこと。そのときも脇を締め、スマホを両手でしっかり持つことを忘れずに。
縦長の画面と横長の画面、 どっちで撮るのがいいのでしょう?
「縦長の被写体は縦長画面のほうがフォーカスできますし、SNSに上げたい場合も縦長のほうがスマホで見やすい。YouTubeにアップしたい場合は横長で」(JEMMAさん)。雄大な景色なども横長が伝わりやすい。被写体の形と動画を見る環境で選んで。
実践|格段に素敵な動画になる、おすすめ撮影テクニック。
◎〝寄り〟と〝引き〟を撮影する。
動画撮影の上達のためには、〝どのくらい近づくとどんな画が撮れるのか〟という、被写体とカメラの距離感を知ることが第一歩。
「まず、被写体に近づいて〈寄り〉で大きく撮影し、その後離れて〈引き〉で撮ってみましょう。その際は周りの雰囲気や状況を入れてみる。ちなみに質感や色など細かいことを撮りたいときは〈寄り〉を、被写体の全体やスケール感を伝えたいときは〈引き〉を用います」
(寄り)
(引き)
◎アングルを変えてみる。
スマホで動画を撮ろうと思ったら、大抵の人は〝今自分が見ているのと同じ視点〟でスマホを構えてしまう、とJEMMAさん。
「例えば普通に上から見下ろすのでは、残念ながら見たことのあるような印象の薄い動画になります。でも地面に近いところにスマホを構えて見上げると、ふだん日常生活の中では見られないアングルからの映像になり、迫力も出る。結果、見た人に興味を持ってもらえます」
(見下ろす)
(見上げる)
◎“動く被写体〟は、自分は動かずに撮る。
動いている様子を記録できるのが動画の醍醐味。だからこそつい〝スマホも被写体に合わせて動かさないと〟と思いがちだが、実はそれは意外と難しい撮影技術。
「それよりもまず、人物や動物、風になびく花や空を飛ぶ飛行機など、動くものを、スマホを動かさずに被写体が動く様子を撮ってみましょう。脇を締めてスマホがグラつかないようにしっかり固定。スマホが動かなくても、移動する被写体が写っているだけで画面内に動きが出ますし、なにより自然な映像が撮れます。慣れてきたら、バスなど一定の速度の被写体に合わせ、動きを追うように体ごとスマホを動かす、といったことにも挑戦してみてください」
身近にある動く被写体をJEMMAさんに撮影してもらいました。
◎“動かない被写体〟は、自分が動いて撮影する。
料理やオブジェなど動かない被写体を撮影する場合、静止して撮影すると写真のように見えてしまう。
「動きを記録できるビデオの特性を活かし、スマホを持っている自分が動き、動画に躍動感を持たせましょう。料理のような小さいものは、被写体のまわりを円を描くように動いてみてください。ほかにも、雄大な景色はゆっくり左右へ、高い建物は下から上にスマホを構えて動くのがおすすめです」
◎スマホ近くに何かを置いて、奥行きを出す。
「メインの被写体よりも手前、よりスマホのレンズに近い場所にあるものを意図的にぼかすことを、〝前ボケ〟と言います。前ボケを入れて撮影をすると映像に奥行きが出せます」
前ボケに便利なのが、草木や花などの存在。スマホに近づければ近づけるほどボケ具合が強くなる。
「スマホの前にぼかすものを置いて前ボケが決まったら、画面上のメインの被写体を指でタップ。するとそこにピントが定まります」
『クロワッサン』1115号より