「私は占い師ではありませんので、何を書けば幸せになれる、というようなことは言えません」
と語り出したのは、元号が改まる時に今の“令和”の文字を書いた、書家の茂住菁邨(もずみせいそん)さん。
だがーー、
「書き文字には人を変える力が宿っていると考えています。活字にない力があるから」
それは普段の私たちの生活を振り返ってみればわかる。雑に書かれた他人の文字を、私たちはついその人の性格を重ね合わせて見てはいないだろうか? 乱暴に書き殴った文字なら怖いと感じたりも。
「文字には書いた人の気が表れます。だから丁寧に書くことが大切なんです」