児島 同感です。若者の共感を呼ぶ長編コントが面白いですよね。
白武 今年5月の本多劇場での『また点滅に戻るだけ』は、すごい劇場に立派なセットを組んで、8人いるメンバー全員のキャラクターがそれぞれしっかりと立った、巧妙な会話劇を作り上げていました。
児島 ダウ(90000)さんを見ていると、何をもってお笑い、演劇と線引きするのだろうかと思わされます。5分のネタならお笑い、2時間のワンシチュエーションコメディだったら演劇となるのでしょうか。
白武 尺による線引きはあると思いますが、ダウの場合は、お笑いと演劇が地続きなんじゃないかなと。お笑い的でもあり、演劇的でもあって、バナナマンさんやラーメンズさん、大人計画さんやヨーロッパ企画さんが’90年代からやってきたことに影響を受けているかはわかりませんが、主宰の蓮見翔くんというお笑い・演劇カルチャーの結晶のような人が出現したなと。
児島 ライブシーンはコロナを経て、配信という手段も増え、今まさに活況を取り戻していますね。
白武 500人だけのキャパで会場に入れなくても、配信することで1万人が楽しめるようになりました。コロナ禍で、一生懸命作った単独公演で収益を上げ、全国の人に届けられる仕組みができたことは、芸人さんにとってもお客さんにとってもよかったことです。
児島 今や東京ドームや武道館でお笑いライブをやる時代ですからね。ライブは、お客さんの前で芸をして笑いをとるという原点に立ち返ることができるので、テレビで活躍するベテラン勢も単独公演を続けているのかもしれません。カメラの向こうにいるお客さんを笑わせるのとはまた違うアドレナリンが出るのか、とても楽しそうです。
白武 僕は個人的に映像が好きなので、何度でも繰り返し見られる濃い作品を作っていきたいと思っています。
児島 ドキュメンタリー映画『まーごめ180キロ』は、その一つの形ですよね。