【魚介のおかず編】川津幸子さんの100文字レシピ決定版。
厳選した人気メニューが、さらに使いやすくアップデートされました。
撮影・青木和義 文・板倉みきこ
魚介のおかず
肉に比べて火の通りが早く、調理時間が短く済むのが魚介類の利点。青魚など臭みのあるものはしっかり下処理、焼きすぎにさえ注意すれば、メインのおかずがささっと出来上がる。
いかと香菜のナンプラー炒め
【2人分】
いか1ぱいの胴は輪切り、足は小分けにする。サラダ油小さじ2でにんにく½かけのみじん
切り、赤唐辛子1/2本、いかをさっと炒め、ナンプラー小さじ2、酒小さじ1、砂糖小さじ1/4で調味し、ざく切りの香菜1株を混ぜる。
香菜とナンプラーの風味で、タイ料理独特の旨さを実感。
火を通したナンプラー(魚醤)の香ばしい匂いが食欲をそそり、ビールとも好相性。
「いかを皮付きのまま、にんにくとさっと炒め、ナンプラーをジャッと回しかけるだけ。仕上げにたっぷり香菜を加えるとより香りが増し、タイ料理らしい一品に仕上がりますよ」。
辛さと独特な風味がクセになる、エスニック料理好きに大好評なひと皿。
帆立て貝柱の青じそソース
【2人分】
青じそ3枚、しょうが1/4かけをみじん切りにし、水・しょうゆ各大さじ1、酢・砂糖各大
さじ1/2、すりごま小さじ1/2を混ぜる。刺身用帆立て貝柱6個の角切り、せん切りのみょうが2個を器に盛り合わせ、ソースをかける。
ソースをかければ、もてなし料理が完成。
「刺身にソースをかけるだけのレシピですが、みょうがをきれいに添え、器を吟味すればもてなし料理に格上げできます。ポイントは、青じそとしょうがを細かくみじん切りにすること。食材にかけた時の見栄えに差が出ます」。
来客時は、食べる直前、ソースに青じそを加えて。エビやいかなどの魚介、冷奴にかけても美味しいソース。
ぶりの南蛮漬け
【作りやすい分量】
ぶり4切れは3つに切り、塩少々をふって15分おき、洗う。酢・だし汁各½カップ、しょ
うゆ・みりん各大さじ2、砂糖大さじ1を煮立て、小麦粉をまぶして170℃の油で揚げたぶりを漬ける。ねぎ1本のせん切りを散らす。
一年中味わえる、滋味深い南蛮漬け。
旬の時季だけでなく、養殖物なら一年中手頃なぶり。
「塩をふって臭みをきちんと抜く下処理は忘れずに。味を染み込ませるには、身のまわりが色づくまで、しっかり揚げるのがコツです」。
タレに漬け込んでおけば翌日もまた美味しく、弁当に入れる一品にもなる。漬けダレは万能なので、ぶり以外の食材でも試してほしい。
めかじきのポワレ ビネガー風味
【2人分】
めかじき2切れは、軽く塩、こしょうをふり、オリーブ油大さじ1で両面を焼く。別鍋にバター大さじ1とみじん切りのにんにく1/2かけを炒め、たたいたアンチョビ1枚、白ワイン酢大さじ2を加えて強火で沸騰させ、魚にかける。
シンプルな魚料理はいじりすぎずに焼くこと。
魚に小麦粉をつけて焼けば洋食店などでお馴染みのムニエルになるが、よりあっさりいただけるのが粉なしで焼くポワレ。
「ポイントは焼き加減。フライパンをしっかり温めてから魚をのせ、片面にきっちり焼き色がつく2分くらいはいじりすぎないこと。焼いている間もゆすらないで。魚の臭みが移らないよう、ソースは別鍋で作りましょう」
誕生から25年、簡単で味が決まる『100文字レシピ』をアップデート
ひと目で調理の流れを把握でき、簡単で美味しい料理ができると話題になった、料理研究家・川津幸子さん考案の『100文字レシピ』も、誕生から25年。限られた文字量に、味の決め手の塩の量や、外せない調理過程が詰まった簡潔な内容は、今も色褪せない。今回、ライフスタイルの変化や時代のニーズを踏まえ、改めて今伝えたいレシピを、ジャンルに分けて再編集することに。
「考案当初は4人家族の想定で作ったレシピですが、今回は大人2人前に。たとえ量が変わっても、作った人と食べる人、みんなが満足できる100文字レシピのコンセプトに変わりはありません。この手間でこの味なら、と喜んでもらえたらこの上ない幸せです」
『クロワッサン』1091号より