くらし

【ごはんと麺編】川津幸子さんの100文字レシピ決定版。

材料、工程がぎゅっと詰まった100文字のレシピ。
厳選した人気メニューが、さらに使いやすくアップデートされました。
  • 撮影・青木和義 文・板倉みきこ

ごはんと麺

もてなし料理の締めに向く、見た目も美しいごはんに、単品で済ませたい日にも役立つ、目先を変えた麺料理……。食材の味を存分に引き出す工夫で、凝った調理法でなくとも滋味深い味に。

たこミンチごはん

たこは刻み(フードプロセッサーでも可)、さっと煮て火を止め、煮汁を冷まして味を含ませる。

【2合分】
米2合は洗う。ゆでだこ200gは粗く刻み、酒1/2カップ、みりん・砂糖・しょうゆ各大さじ1、塩小さじ1/2でさっと煮る。煮汁をきり、この煮汁と水で米を水加減して炊き、炊き上がりにたこを混ぜる。万能ねぎの小口切りを散らす。

だしを足さずとも風味豊か。磯の香り漂う一品。

下処理がいらず、切るだけですぐ調理できるのが魅力のたこ。
「ゆでだこをそのまま炊き込むと水っぽくなったり、たこ自体が硬くなると思ったんです。まずはみじん切りにしてさっと煮て、煮汁でごはんを炊いて最後にたこを加えたら大成功。だしを加えず、たこから出る旨味だけで風味も充分。素材の味に勝るだしはないと実感です」

クレソンじゃこごはん

【2人分】
米2合は洗い、酒大さじ2、塩小さじ2/3〜1を加えて、2合に水加減し、ちりめんじゃこ25gを広げて炊く。炊き上がったら、茎ごとざっと刻んだクレソン2束(約100g)、いりごま大さじ1を加えて混ぜ合わせる。

クレソンを主役と捉え、ザクザク刻んで菜めし風に。

脇役にされがちなクレソンの美味しさを知ってほしい、と考案。
「ほんのり塩味のじゃこを入れて炊いたごはんに、クレソンをたっぷり2束。茎ごとザクザク刻んでごはんに混ぜます。かなりの量だけど、このボリュームが決め手。混ぜればじゃことごはんがしっとりまとまり、クレソンのほのかな苦味が口一杯に広がります」。
おにぎりにしても。

ひき肉のしょうゆあえそば

【2人分】
サラダ油大さじ1でしょうが1/2かけの細切りを炒め、豚ひき肉200gも炒める。斜め薄切りのねぎ1本を炒め合わせ、しょうゆ大さじ2、砂糖・紹興酒各大さじ1/2で調味。ゆでて水で洗い、ごま油大さじ1/2をかけた中華麺2玉とあえる。

しょうゆと砂糖だけで、本場の味を再現。

同じレシピで、それまでは薄切り肉を使っていたが、ある時思いついてひき肉に替えてみたら、台湾で食べたあえそばの味にぐんと近づいた。
「ふとした発見でレシピが進化していくのも料理研究家の醍醐味。主たる味つけはしょうゆと砂糖だけなのに、なぜこれほどまで味が決まるのかしら」。
川津さん自身が不思議に思う究極のレシピ。

牛肉とトマトの軽いラグースパゲッティ

【作りやすい分量】
オリーブ油大さじ2とつぶしたにんにく2かけを炒め、牛こま切れ肉300gを炒めたら、トマト水煮1缶、ケッパー大さじ2、黒オリーブ16個、ドライオレガノ小さじ1、塩小さじ¾を
加え10分煮る。ゆでたパスタ適量とあえる。

煮込み時間わずか10分。川津流・ごちそうパスタ。

もともとは、ピザに使うオレガノとトマトが入っていることから、「ピザイオーラ」という名前がついているパスタメニュー。
「ラグーソースは、肉や野菜などをコトコト煮込むのが定番だけど、ここではたった10分で仕上げます。長時間煮込まず、ワインを入れずとも味が出るケッパーと黒オリーブのおかげで本格的なコク深い味に」

誕生から25年、簡単で味が決まる『100文字レシピ』をアップデート

ひと目で調理の流れを把握でき、簡単で美味しい料理ができると話題になった、料理研究家・川津幸子さん考案の『100文字レシピ』も、誕生から25年。限られた文字量に、味の決め手の塩の量や、外せない調理過程が詰まった簡潔な内容は、今も色褪せない。今回、ライフスタイルの変化や時代のニーズを踏まえ、改めて今伝えたいレシピを、ジャンルに分けて再編集することに。

「考案当初は4人家族の想定で作ったレシピですが、今回は大人2人前に。たとえ量が変わっても、作った人と食べる人、みんなが満足できる100文字レシピのコンセプトに変わりはありません。この手間でこの味なら、と喜んでもらえたらこの上ない幸せです」

川津幸子

川津幸子 さん (かわつ・ゆきこ)

料理研究家

料理雑誌の編集者を経て、料理研究家に。料理の楽しさを伝えるため、簡単で美味しいレシピ作りに加え、読みやすい言葉選びにも心を配る。

『クロワッサン』1091号より

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