くらし

京都通が薦める、【和食】の厳選3軒。

久しぶりの京都で何食べようか。
ジャンル問わず老舗も多ければ、コロナ禍で誕生した良店も多い。
そこで、やっぱり行きたい和食。京の店を知り尽くす食通が推薦。
  • 撮影・福森クニヒロ 文・齋藤優子

| 祇園白川 |白川たむら

コースの流れにメリハリがあって、気分が上がります。
(瀬戸内寂聴秘書・瀬尾まなほさん)

料理はすべて昼6,800円のコースから。お椀の、蛤真丈の薄氷仕立て。薄切りの蕪から透ける真丈で春の訪れを。

瀬戸内寂聴さんの秘書を務めていた瀬尾まなほさん。一周忌の折には寂聴さんを偲んでこの店を訪れた。「料理はもちろんですが、何より瀬戸内が店主の田村尚重さんの気さくなお人柄を好きだったので」と話す。

瀬尾さん、2カ月ぶりに田村さん(右)の料理を食べに来店。

京料理の名店『嵐山 吉兆』を皮切りに、割烹からスペイン、フランス料理まで学んで店を構えた田村さんは、料理も会話も、とにかく食事を楽しんでもらうことに心を砕く。

左・パフェ仕立てのお造り。「とても計算されて作られているんですね」と、瀬尾さん。

〝手で持ってかぶりついてください〞とコースの1皿目にやってきたのは、鰻カツバーガー。

「お椀や焼き物、ご飯はあくまで正統派。そこにフィンガーフードやパフェ仕立てのお造りが入ってくるので、気分が変わって最後まで飽きません。今度はぜひ、家族でランチに訪れたいですね」

鰻を蒲焼きにしてからフライにし、鰻との相性の良さを表した錦糸卵やレタス代わりのわさび菜とサンド。

●京都市東山区祇園新門前通花見小路東入一筋目上ル
TEL.075・533・8805 
営業時間:12時~13時30分LO、18時~20時LO 不定休 要予約

| 御所東 |割烹しなとみ

意外と少ない割烹スタイルの新星。どの料理もはずれなし。
(ライター・大和まこさん)

春らしい一寸豆の土鍋ごはん2,500円。お米は、京丹後の無農薬米を使っている。

高級店と変わらぬ料理が、一品から自由に頼めるのが割烹の良さだ。長年勤めた祇園の割烹で、いろはを学んだ高橋集一さんが構えたのは、そんな正統派の一軒。「うちの料理は地味なので」と控えめながら、どの皿も、良質な食材を使い、奇を衒わずに仕上げた、まさに正統派。

桜鱒の木の芽焼き1,800円。炭火で焼いた桜鱒に、これでもかと木の芽がのり、作っているそばから春の香りが届く。魚介類はすべて天然ものを使う。

また、ダシに造詣が深く、数種の鰹節の削り節をブレンドして引くダシもあるが、あくまで素材の味や香りを活かした旨味が勝ちすぎない、奥ゆかしい味。一寸豆の土鍋ごはんも、野菜の味を大切にしたいからと、昆布と塩だけで炊いている。

白魚と三つ葉の柳川2,000円。

●京都市上京区信富町315・4 
TEL.075・366・4736 
TEL.17時30分~20時LO 木曜休、ほか月2回不定休あり 要予約

| 五条 | くずし理(ことわり)

遊び心をのぞかせた品々が手頃な価格で味わえます。
(ライター・泡☆盛子さん)

ホタルイカの紅生姜衣、カツオの漬けの太巻き、エビと山芋のそうめんなど、前菜盛り合わせ。

くずし割烹の先駆け『枝魯枝魯ひとしな』などで腕を振るってきた奥田将太さんが、その経歴を活かして構えた料理店。

「和食をコースで楽しむきっかけになってもらえたら」と、夜5,500円のコース1本で勝負する。

ブリ大根のお椀。ブリと大根を別々に炊いて、生姜の銀あんを流している。

紅生姜の天ぷら衣で前菜に彩りを添えたり、気取らない煮物のブリ大根を美しい椀物に仕立てたり、コースのメインとなる〝くずし〞の皿では、すぐきの漬物の酸味をバターと合わせてソースにする。

和食のキモであるダシの旨味を大切に、和の食材で遊んだ〝くずし〞の技が随所にちりばめられ、楽しくて、おいしい。

くずしの皿は、鱈のすぐきのバターソテー。料理はすべて月替わりの5, 500円のコースからの一例。

●京都市下京区万寿寺通堺町東入俵屋町239・2 
TEL.090・8536・5489 
営業時間:18時~22時30分 水曜、月末最終日休

『クロワッサン』1089号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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