くらし

鏡リュウジさんと読み解く。2022年下半期はどう生きるか?

夏から年末にかけては、どんな半年になる? どのように毎日を送ることが幸運につながる?
占星術界の第一人者が、星の動きを元にした開運のヒントを伝授。
  • 撮影・青木和義、黒川ひろみ イラストレーション・松栄舞子 文・嶌 陽子 構成・堀越和幸 撮影協力・和カフェTsumugi(ツムギ)築地本願寺カフェ
占星術研究家、翻訳家の鏡リュウジ さん

星占いを見て「当たっている!」と思うことは、
実は既知の事実であるから、役に立つ情報ではありません。
にもかかわらず、ドキドキするというのは、
もしかすると単なる偶然の連鎖にすぎない自分の日常が、
星の動きと合致した大きな流れの一部なのだと感じるから。
これこそが、星占いの面白さであり、醍醐味です。
この世界を楽しむことで、毎日はきっと豊かになる。
一方で、占いに書かれているのは大抵の人が思い当たること。
むしろ「絶対に当たっていない!」と頑なに拒否する時は、
自分の中にそれを認めたくない何かがあるのかもしれない、
と疑い、内面を見つめるきっかけにしてもいいでしょう。
日常に風穴を開ける星のお告げを上手に活用することで、
今年後半、あなたにとっておきの幸運が訪れますように。

2022年下半期の星の動きは? そして、どう生きるか?

“スタート地点に立った今、積極的に動きだしましょう。”

今年の5月11日、拡大と発展の星である木星が12星座最後の星座である魚座から、最初の星座である牡羊座に移った、と話す鏡リュウジさん。

「これはつまり、新しいサイクルが始まったということ。期待を込めて言いたいのは、ここ数年の少し停滞気味だった時期が終わり、皆が新しいスタートを切っていけるということです」

牡羊座は「開拓」の星座なので、これまでの閉塞的な状況を打破し、積極的に動きだすのが幸運を呼び込む秘訣だという。

「しばらく会えなかった人に会ったり、旅行に出かけたりするのはもちろん、体を動かすのもおすすめです。いつもより少しハードなエクササイズをするのもいいでしょうね。色ならビタミンカラー、食べ物では香辛料を使ったものがラッキーアイテムに。この夏はカレーを食べて汗をかくのもいいかもしれません。愛情や人間関係についても、この下半期は自分からイニシアチブを取るのが鍵です」

ただし、10月28日〜12月19日は木星が逆行し、いったん魚座に戻る。

「この時期はやり残したことに取り組む時期。まだできていなかったことや言いたかったこと、謝りたかったことなど、心残りのことを片づけておくと、次のステップへ力強く飛躍できると思います」

そして、これからの世の中を読み解く鍵であるもうひとつの大きな星の動きが、2020年12月に起こった“グレートコンジャンクション”と呼ばれる現象だ。

「グレートコンジャンクションとは、木星と土星が接近する日で、約20年に一度起こる現象です。これまでは長らく“土の星座”のグループで起こっていたのが、2020年、200年ぶりに“風の星座”のグループへと移るという時代の大転換が起こりました。2年前に『風の時代の到来』などと騒がれていたのを、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか」

“今、求められているのは 知性や教養を磨くこと。”

土の星座が、土地やお金といった目に見えるものの象徴なのに対し、風の星座は知性やコミュニケーション、情報などの抽象的なものの象徴。インターネットやSNSの普及、テレワークの広がりなどもまさに「風の時代」らしい動きと言えそうだ。

「ただ、200年というスパンを考えると風の時代は始まったばかり。今は過渡期です。SNSなどでもすぐに意見が二極分化したり、炎上などのある種の暴力性が現れたりしますよね。本当の情報や知性を育んでいかないと、この先しんどくなるんじゃないかな」

情報を見極め、成熟したコミュニケーションをとるためにも、一人ひとりが本当の教養を身につける必要があるのでは、と鏡さん。それが人間としての豊かさにつながるのだ、とも。

「星占いというのも、“こういう世界の見方があるよ”という考え方の柔軟性や知識の引き出し、それを支える心の余裕みたいなものがあってこそ楽しめるものなんです」

混沌とした大転換の時代、どんな生き方が開運へとつながるのだろう? 最後に鏡さんに聞くと、こんな逆説的な答えが返ってきた。

「運を良くしようと欲張らないことですね。目標に向かって頑張るのはいいんですが、自分のスケールを超えようとするとうまい話に騙されたり、悪い人につかまったりして失敗しがち。僕は運の8割は人間関係だと思っているんです。困った時に助け合える人がいるかどうか、それが大事。損得ばかり考えていると、そういう人しか周りに集まってこなくなりますから」

将来絶対にこうなってみせる。そんなふうに頑なに目標にこだわり過ぎると、そうならなかったらどうしよう、という恐怖心のほうが強くなり、それに負けてしまう。自分の未来を支配しようとせずに、「こうなったらいいな」くらいに思っているのが実はちょうどいい、と鏡さんは言う。

「高校受験の時に、北野天満宮に合格祈願に行ったんですよ。家に帰ったら祖母に『なんてお願いした?』って聞かれたので『◯◯高校に合格させてくださいって言うてきたわ』って言ったら、『あかんやん、そんなん。◯◯高校は今のあんたがいいと思ってるだけで、ほんまにいいかどうかわからへんやん』と。
『じゃあ何てお願いしたらええの?』と聞いたら『一番ええようにしてください』だって言うんです。『ええように』っていうのは自分だけじゃなくて皆にとっても、そして単純な良い悪いではなく、ちょうどいい、ということ。そんな考え方が、幸福に生きる鍵なのでは、と思っています」

「ええように」、これが幸せに生きるための鍵となる言葉です。

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