「せっかく作り置きするなら、最後までおいしく食べてもらいたい」、と真藤舞衣子さんは、ずっと考えてきた。
作り置きのなかでも、すでに味がついているものは、食べ続けるうちに飽きてしまいがちだ。結局食べ切れずに終わってしまうことも。かと言って、ゆでた野菜をそのまま置くと、どうしても味が落ちてしまう。どうすれば、作り置きの悩みを解消できるのか。
そうして考えついたのが、作り置いている間に、深みが出て味がよくなる、素材本位の作り置きレシピだ。
発酵食の研究家でもある真藤さん。素材の味を凝縮してうまみを引き出したり、ピクルスやマリネにしたり、発酵させることで、味をがらりと変えていくことを提案。
「ひとつは塩漬けにして発酵させること。あとは酢漬けにしたり、乾燥させたり、天日で干してからオイルに漬けるなど、ひと工夫することで、日ごとにおいしくなる作り置きを、ぜひマスターしてほしい」
そのまま食べてもおいしく、さまざまなジャンルの料理にアレンジするには、ちょっとしたコツがある。
「オイル漬けには、できるだけクセのない米油や太白ごま油などを選びましょう。和食にも中華にもエスニックにも合わせやすく、アレンジできる料理の幅が広がりますから」
また、作り置きの素材からアレンジするときは、手がかかりすぎては、作り置きする意味がなくなってしまう。和えるだけ、さっと炒めるだけ、鍋の具材にするなど、手順が少なくて簡単なのが大切だ。
途中で食べ飽きてしまわないようにひと工夫。時間がおいしくしてくれる「技ありな作り置き」をわが家の定番にしよう。