くらし

深い味わい、乳酸白菜の作り方とアレンジ料理【真藤舞衣子さんの作り置きレシピ】

作り置きは便利だけれど、同じ味を食べ続けるのはちょっとつらい。うまみをアップさせた素材の作り置きなら、その心配はありません。
  • 撮影・吉澤健太 文・田村幸子

【塩漬け】乳酸白菜

切り方がポイント。繊維に直角に1cm幅でざくざく切ると、歯応えがいい。
白菜が1/3量になったら、2枚重ねにしたポリ袋に入れ、空気を抜いて結ぶ。

▼ 発酵による酸味が、深い味わいを生む。

冬野菜の白菜は、塩をして発酵させるだけでまろやかな酸っぱさに。
チャーハンの具にしてもコクが出るし、乳酸菌が働いて腸が整う優れもの。

【材料(作りやすい分量)】
白菜1/4個(800gくらい)
塩 16g(白菜全体量の2%)

【作り方】
1.白菜は横に幅1cmほどに切ってボウルに塩と一緒に入れ、ザッと和えたら手のひらで圧力をかけながらくるくると円を描くように塩をなじませる。白菜がしんなりしてきたら、よく揉んで水気を軽く絞る。
2.1をポリ袋に入れ、空気を抜いて閉じる。常温で1週間ほどでぷくぷくと気泡が出てくる。食べてみて酸味が感じられれば完成。キャベツでも。
*日持ちは冷蔵庫で約1週間。

乳酸白菜と豚と豆腐の煮込み

乳酸白菜があれば、台湾で人気の「酸菜白肉鍋(スゥンツァイパイロゥグォ)」が再現できる。生の白菜とはひと味もふた味もちがう煮込み鍋は、乳酸白菜の酸味が脂っこさを消して、うまみだけが際立つ。

【材料(2人分)】
乳酸白菜 200g
豚こま切れ肉 150g
木綿豆腐 1/2丁
生姜 1かけ
みりん 大さじ1
醤油 大さじ1
ごま油 大さじ1
片栗粉 小さじ2(大さじ1と1/2の水で溶く)

【作り方】
鍋にごま油を入れてみじん切りにした生姜を加え、豚こま切れ肉を脂が出て焼き目がつくまで炒める。乳酸白菜、半分に切った豆腐、水300ml、みりん、醤油を加え、煮立ったら水溶き片栗粉を入れ、軽くかき混ぜる。

同じ味だと飽きてしまうのが悩み。技あり! 塩漬け、酢漬け、ドライ。

「せっかく作り置きするなら、最後までおいしく食べてもらいたい」、と真藤舞衣子さんは、ずっと考えてきた。

作り置きのなかでも、すでに味がついているものは、食べ続けるうちに飽きてしまいがちだ。結局食べ切れずに終わってしまうことも。かと言って、ゆでた野菜をそのまま置くと、どうしても味が落ちてしまう。どうすれば、作り置きの悩みを解消できるのか。

そうして考えついたのが、作り置いている間に、深みが出て味がよくなる、素材本位の作り置きレシピだ。

発酵食の研究家でもある真藤さん。素材の味を凝縮してうまみを引き出したり、ピクルスやマリネにしたり、発酵させることで、味をがらりと変えていくことを提案。

「ひとつは塩漬けにして発酵させること。あとは酢漬けにしたり、乾燥させたり、天日で干してからオイルに漬けるなど、ひと工夫することで、日ごとにおいしくなる作り置きを、ぜひマスターしてほしい」

そのまま食べてもおいしく、さまざまなジャンルの料理にアレンジするには、ちょっとしたコツがある。

「オイル漬けには、できるだけクセのない米油や太白ごま油などを選びましょう。和食にも中華にもエスニックにも合わせやすく、アレンジできる料理の幅が広がりますから」

また、作り置きの素材からアレンジするときは、手がかかりすぎては、作り置きする意味がなくなってしまう。和えるだけ、さっと炒めるだけ、鍋の具材にするなど、手順が少なくて簡単なのが大切だ。

途中で食べ飽きてしまわないようにひと工夫。時間がおいしくしてくれる「技ありな作り置き」をわが家の定番にしよう。

\真藤さん愛用のガラス容器/

各種サイズあり。600ml 499円~。

「においがつかなくて、汚れもこびりつかない。耐熱でお手入れも簡単」(真藤さん)。IKEAのガラス容器は機能的で姿もよい。竹製の蓋付きでそのままテーブルに出せる。

真藤舞衣子

真藤舞衣子 さん (しんどう・まいこ)

料理家

会社員を経て、京都の禅寺で1年間暮らす。フランス留学、菓子店勤務ののち料理家に。最新刊は『発酵美人になりませう。』(宝島社)。

『クロワッサン』1063号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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