くらし

「社交ダンス」は生きる証。漫画家・槇村さとるさんの踊る習慣。

あの人の所作のしなやかさ、表情の晴れやかさはどこから?踊ることを習慣にする槇村さとるさんが語る人生への効用とは?
  • 撮影・岩本慶三 文・松本あかね

踊りたい気持ちを解放! 新しい自分を知って、もうやめられない。

小さな頃からダンサーが憧れだったという槇村さとるさん。作品にも数多く描いてきた。50代の終わり、胆石の手術後に体調を崩し、それからようやく回復し始めた頃、知人に招かれた社交ダンスの発表会で衝撃を受ける。

撮影は東京・西永福にあるミヤジマヒデユキダンススクール(http://www.miyajima-dance.com/index.html)にて。講師の宮嶋秀行さんと清水寿恵さんは2005年の日本チャンピオン。

「きれいなドレスで燕尾服の男性にエスコートされて踊りまくる70代、80代の生徒さんたちを見てたら、泣けてきたの。みんな、楽しそうだったから」

次の日にはダンススクールの扉を叩き、今では週3回レッスンに通う。

アレキサンダー・マックイーンのクレオパトラ風ドレスからアイデアをもらって作った初めてのドレス。ドリス・ヴァン・ノッテンの黒いネックレスを合わせて。

踊るのは専らタンゴ。女主人公の設定から始める。

“パーティ”と呼ばれる発表会の演目を決めるときは女主人公の設定から入るそう。彼女はどんな人? キズは?仕草は?「本来はもっと純粋にステップを楽しむ競技だと思う。でも私はそこに内面性やドラマを求めてしまう」。もしかして漫画と同じ? 「絵で描くか、体で踊るかの違いだけね」

年に1度、12月に開かれるダンススクールのパーティで。毎年、この日のために演目を準備。写真は3年前にジプシー女性が主人公の『カルメン』を踊ったときのもの。撮影・スタジオひまわり

6年が経ち、1時間のレッスンも踊り切るスタミナがついた。「足の裏から背中から、通っていなかった神経が増えたみたい。心拍数が上がって、汗をかいて、生きているなあという感じ」

「今は大事なことが3つだけ。踊ること、漫画を描くこと、キムさん(夫で性人類学者のキム・ミョンガンさん)といること。それ以外のことで消耗するには人生は短すぎない? 自分にはもう新しいことは訪れないなんて嘘だから、何でも始めてみて!」

40年以上ダンスは"観る専""描く専"だったと槇 村さん。「大好きなダンサーや演目が今、自分が踊るときの遠い星だったり、土台だったりします」
槇村さとる

槇村さとる さん (まきむら・さとる)

漫画家

『ダンシング・ゼネレーション』(集英社)など数々のダンス漫画を手がける。大人の女性に向けたエッセイ集も支持を集めている。

『クロワッサン』1061号より

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