くらし

お寺との違い、お勧めの時間帯、氏神様とは? 知っておきたい神社との付き合い方。

神社開運コンサルタントの白鳥詩子さんに教わる、”神社のトリセツ”。知っておきたい心構えや礼儀作法とは?
  • イラストレーション・砂川ちさき 文・田村幸子

Q.神社とお寺は、そもそもどう違うのですか。

神社は神様をお祀りしている場所で、お寺はご先祖の御霊(みたま)をお祀りしているところ。大きな違いはそこにあります。

なぜ、〝寺社〟と一緒にしがちなのか。それは10世紀初頭から明治元年まで存在した「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」に由来します。

それまでは神社とお寺が同じ敷地に混在していました。しかし、明治新政府の政策で「神仏分離令」が施行されました。その名残が東京の浅草寺や愛知の豊川稲荷です。神社にお参りすると「ご利益がある」という人がいますが、実は「ご利益」は仏教用語。神社では「ご神徳」というのが正しいのです。

Q.神社に参拝するのに、お勧めの時間帯、 避けたほうがいい時間帯はありますか。

神様のパワーがもっとも強まるのは、朝。それも日の出から7時台までがよろしいでしょう。朝8時を過ぎると、人々が動き始めて生活音が聞こえてきます。その前の静寂に包まれた時間に神社にお参りすると、気持ちも清々しいし、神様に願いが届きやすいように感じます。

私が京都から上京してきたころのこと。毎朝、開門と同時に明治神宮にお参りしていました。大きな神社には開門があって、だいたい日の出の時間帯です。
なぜ日の出の時間帯かというと、八百万(やおよろず)の神々の総括神である天照大神(アマテラスオオミカミ)が、太陽の神様だから。天照大神様が昇るころは、神社の神様たちも朝の光を浴びてパワーに満ちているのです。おうち参拝なら、日の出の時刻を調べて太陽を拝むのがお勧めです。

神社にお参りするのを避けたほうがいいのは、黄昏時から夜にかけて。昼と夜の「境」が薄くなるころは、「逢(お)う魔(ま)が時(とき)」。

魑魅魍魎(ちみもうりょう)がうようよいるので、知らないうちに禍をもらってしまいます。夜に神社にお参りしていいのは、お祭りと大晦日くらい。そのときは、神社の本殿が開いていて神様が守ってくださるから大丈夫なのです。

Q.氏神様を大事にしなさい、とよく聞きます。氏神とはそもそもなんでしょう。どうすれば自分の氏神がわかりますか。

氏神様とはあなたの先祖を代々守ってきてくださった神様のこと。「氏」とは「姓」のことで、生家の氏をたどるとわかります。

結婚などで姓を変更した人は変更先の氏を。現在では祖父母、父母と居住地も転じていて、わからない人がほとんど。氏神がわかるのは、神職やその土地に代々暮らしている人だけ。95%の人が氏神様が判明しないというデータもあります。そこで現在は「住居がある場所の土地神を氏神とする」となっています。また、総括神の天照大神は日本国民すべての総氏神様です。

大切にされるとよいと思う神社は、氏神様と、現在住んでいる土地を守ってくださっている土地神様。そして最後に、この世に生を受けた時から自分を守り続けてくださっている産土神様の3神がお祀りされている3社です。この3社にお参りすることを「三社詣り」と呼んでいます。

転居したばかりで土地神神社がどこかわからない、産土神社がどこか聞いたことがないという人は、各都道府県の神社庁のホームページにアクセスしてみてください。住所を入力するとわかるケースもあります。

あなたの人生を変える、氏神・土地神・産土神神社の調べ方。

氏神神社●初代のご先祖様の出身都道府県の神社庁HPへ。
土地神神社●現住所の都道府県の神社庁HPへ。
産土神神社●7歳まで過ごした都道府県の神社庁HPへ。

それぞれ、都道府県の神社庁HPにアクセスすると、その地域の神社が表示されます(住所で絞り込めるHPもあり)。近くの神社へ出向き神主さんに自分の住所を伝え、この神社が土地神神社ですか、と聞いてみましょう。ご両親や近所の年配の方に聞いてみるのもよいでしょう。
どうしてもわからない場合は、日本国民すべての総氏神様である天照大神様がお祀りされている近所の神社へお参りすれば問題ありません。

京都の祇園祭にかかわる神社と所縁(ゆかり)が深い家に生まれた白鳥詩子さんは、物心がついたころからずっと、神社や神様が暮らしの中心にあったそう。

「神社とそこに祀られている神様のことをもっと知っていただきたいのです。なぜ、ここに神社があるのか、その神様はどの神様の子どもで、どんな経験をされてきたのか。『古事記』を読むとわかります」

これらの神様や神社にまつわる“基本”をそっちのけで「どうすれば、ご利益がありますか?」「一生懸命お願いしているのに神様はちっともお願いを叶えてくれない、嫌われてるのかな」と相談されてとまどうことも。

「そもそも神社は、『神様、いつも見守ってくださりありがとうございます』と感謝の気持ちを伝えにいくところ。そのあとで『こんなことを考えています。うまくいきますか?』と問いかける。おみくじを引いて回答や助言をもらうのは、神様との交流であり対話です。

“基本”をよく理解して、どうすれば神様が喜んでくださるかを考えてお参りすると、願いが神様に届きやすく結果的に叶うのが早まるようです」

白鳥詩子

白鳥詩子 さん (しらとり・うたこ)

神社開運コンサルタント

神社を守る家系に生まれ、11歳で巫女デビュー。巫女の経験を活かした「正式参拝のお作法を学ぶ神社ツアー」を開催。神社本『神社で引き寄せ開運』(三笠書房)などの著書も多数。

『クロワッサン』1060号より

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