段取り上手な、「SAMURAI」マネージャー佐藤悦子さんの賢い時間術。
撮影・MEGUMI 文・板倉みきこ
時間に追われるのが何より苦手だという、クリエイティブスタジオ「SAMURAI」マネージャーの佐藤悦子さん。
仕事と育児、どちらにも真剣に取り組みながら、自分の時間も上手に捻出する日々の暮らしは、段取りとちょっとした工夫の積み重ねが支えている。
「仕事も家事も子育ても、予想外の展開が起こるもの。できることは事前に段取っておくと、物理的にも精神的にも余裕が持て、急な出来事にも慌てず受け止められると思っています。
また、忙しい時も余裕がある時も、人が一度にできるのは一つだけ。優先順位をしっかり決めて、無理せずその時できることに集中しようと心がけています」
時間と上手に付き合って心に余裕を持つために、佐藤さんが日々実践しているコツや習慣を教えてもらった。
[朝]活動スイッチを入れ、日課をこなす。
平日は5時ごろ起床。息子のお弁当を作り、朝食や家事などを終えたら自宅近くのオフィスで仕事を開始。
「起床時間はかっちり決めず、前日の就寝時間やその日の用事に合わせて、ある程度自由に捉えておきます。そのほうが時間を有意義に使えるし、気持ちも楽です」
■すぐできるメールチェックは朝のうちに終えてしまうと楽。
仕事で朝一番にするメールチェック。「やることが多い時ほど、すぐに終わるものから手をつけるのが得策です。すぐ対応できるものは時間を決めて取り掛かり、その後、時間のかかるものに手をつけるようにしています」
■早起きする自分へのご褒美。チョコレートで脳も目覚める。
「チョコレートが大好きなので、おめざに用意しておくと『もっとゆっくり寝ていたい』という気持ちに打ち勝てます」。
左は芦屋にあるお気に入りの店『ショコラトリープラン』のもの。右は定番の不二家ピーナッツチョコレート。
■メニューの重複を避けるため、1週間単位で内容を想定。
息子のお弁当は、1週間ごとにあらかじめ大体のメニューを考えておく。
「内容がかぶるのを避けられますし、毎朝何を作ろうと考えてバタバタしたくないので。息子に好評だったものは記録してあってそれも参考にします」
[昼]自他ともに段取り力が発揮される時。
時には数年にわたるプロジェクトをつつがなく進行させていくのが、マネージャーである佐藤さんの主な仕事だ。直近は国立新美術館で開催された佐藤可士和展。
「時間も相当かかりますが、無理にオンとオフを切り替えようと考えないことでバランスが保たれています」
■ 開催中の展覧会をマネージメント。
有名企業のロゴデザインなど、可士和さんが手がけた作品をアートとして観覧できる展覧会は、多くの人の協力を経てコロナ禍のなか開催(※現在は終了)。
建築家の隈研吾さんなどと携わった「団地の未来プロジェクト」の報道発表会も会期中に美術館で開催され、関係者の対応に奔走。「仕事中は目の前のことに没頭しています」
[夜]家族との時間、そして明日の準備も。
最近は会食の機会も減ったので、もともと大切にしていた夕食の時間がより大きなものに。
「仕事で時間があまりない時も無理なく続けられるよう、メニュー決めや食材の準備を工夫しています」。
夕食後の時間は明日の準備や自分の心の休息にあて、一日を締めくくる。
■持ち物の準備が朝の余裕を生む。
次の日に使うバッグに必要なものを入れ、会う人に合わせた手土産を夜のうちに準備する。
「朝、バタバタする時間を極力減らしたいのと、自分の安心のために必ず前日にしておきます。また、もし手土産を忘れていることに気づいても、そこで気づけばなんとかなりますから」
■メニューを先に決め、無駄なく動く。
「夫も息子も家ご飯が大好きなので、夕食は彼らが喜ぶものを作ってあげたいと思っています」。
数日分のメニューを決めてしまい、空き時間にまとめて買い物をし、毎晩7時頃には夕食を作って出せるよう仕事を管理している。写真はピーマンの肉詰めとポトフを作った日の食材。
■たくさんの刺激が得られる読書。
就寝前の読書は至福の時間。ミステリーや恋愛小説、ビジネス書など様々なジャンルから気になったものを選ぶ。
「どの本にも心に響く名言が必ずあり、自分の知らない世界が広がる喜びがあります。最近特にハマったのは『大阪のお母さん』。人生について多くを学べました」
『クロワッサン』1043号より