小さな不規則が大きな不調の原因に。まずは「体内時計」を整えよう。
撮影・小林キユウ スタイリング・高島聖子 文・小沢緑子
ステイホームの生活にメリハリを。仕事や家事作業も90分ごとに一区切り。
リモートワークはメリットがある反面、オンとオフの切り替えがうまくいかなくなるデメリットも。
「また、出社しなくていいからと夜ふかしをすると、生活リズムが崩れるきっかけになるので注意を。家にいる時間が長いときは意識的に生活にメリハリをつけるよう工夫しましょう。体内時計の調整に役立ちます」
ダラダラと仕事や作業を続けないために、小休止を入れながら1つのタスクを90分単位で行ってみる。
「人間が集中できる時間は最大でも90分といわれているので作業効率がアップすると思います」
小休止はペットと遊ぶ、お茶を淹れるなど、在宅ならではのお楽しみもあるが、「一日家にいると長時間座りっぱなしになり、それが病気のリスクを高めるという研究報告もあるので、ストレッチなども効果的。足首の上げ下げ、ふくらはぎ伸ばし、胸をグーッと開くなど、ちょっとでもいいから動くことです」。
体内時計を正常に働かせるためには運動習慣も大切。
「コロナ禍の外出自粛の影響で、今、一日の活動量や運動量が減りがちです。昼間体を動かさないと疲れないから夜眠れず、体内時計が乱れる悪循環が起きています。運動不足を感じている人は1駅分早足で歩く、階段を使うなど、日常の活動量を増やして“疲れを上手にためる工夫”を」
また日頃から時間を確保して適度に運動する習慣をつけることも大事。
「効率がいいのは、運動のゴールデンタイムといわれる18〜20時の間に20分〜1時間程度、ウォーキング、水泳など強度が高すぎない有酸素運動をすること。ただ、正直この時間帯は私もそうですが夕食の準備に後片づけにと家事に追われがち。運動する時間がわざわざとれない場合は、立ち仕事をしながら爪先立ちをしてお尻をきゅっと締める、ですとか、家事や片づけなどできるだけこまめに動く、という意識を持つだけでもだいぶ違うと思います。無理してハードルを上げず、続けられる習慣を」
シャワーより湯船。 ぬるめの湯に20分、で深部体温を下げる。
「体内時計を整えるためには、よりよい睡眠をとる必要があります。入浴は快眠に直結するので、夜はシャワーだけで済ますのではなく、湯船に浸かることを習慣に」
ポイントは、ぬるめの湯での入浴。
「体には手足の皮膚温度が上がるとそこから熱を外に放出し、深部体温(内臓など体の奥の温度)を下げて深い眠りへと誘うというメカニズムがあります。その効果を高める入浴法が、『就寝1〜1時間半前に38〜40度のぬるめの湯で20分程度、全身浴をする』こと。すっと眠れて良質な睡眠が得られるので体内時計のリズムも整います」
もしどうしても熱めの湯でないと入浴した気がしない人は、就寝2時間以上前に入浴を。
「熱い湯での入浴は激しい運動をしたときと同様、心拍数、血圧などを上げ、交感神経も優位に。それが落ち着き体が休息モードに切り替わるまでの時間を充分にとりましょう」
ブルーライトが元凶。就寝30分〜1時間 前には、スマホやパソコンとさよならを。
以前にも増して欠かせなくなったスマホ、パソコンなどのデジタル機器。寝る直前までSNS、動画チェックなどをしている人もいるが、
「スマホやパソコン画面から発生するブルーライトは可視光線の中で最も波長が短く強い光。夜に目の中に入ると、脳にある体内時計が『今は朝だ』と勘違いし興奮してしまいます。それによって寝付けなくなれば、体内時計のリズムが遅れる原因に。就寝30分から1時間前にはデジタル機器は手放しましょう」
特にスマホは顔との距離が近く、目に入るブルーライトの量も多い。
「私はお風呂に入る時間を『スマホとさよならする時間』にしています」
また、夜は脳疲弊した状態。「冷静な判断ができず、普段なら受け流すSNSやニュースもネガティブにとらえがち。情報に振り回されると不眠が促進されるので、それを防ぐためにも就寝前はデジタル・デトックスをすることが大切です」
『クロワッサン』1043号より