禅寺で日々行われる掃除には、心と暮らしの清め方の、学びがある。
撮影・三東サイ 文・大澤はつ江
【トイレ】
【中巾と雑巾を使い分けてピカピカのトイレに。】
家の中で最も汚れやすい場所がトイレ。トイレを清潔に保つことは体を健やかに保つことにもつながる。日ごろのトイレ掃除を怠れば、汚れた悪い環境に慣れてしまうことに。
窓があれば開け、空気を入れ替え、中巾で窓枠やガラス面を拭く。手を洗う場所が設置されている場合は蛇口や水回りを中巾で。便座、蓋も中巾。便器のヘリは雑巾で汚れを取る。床は便器で使用した雑巾とは別のもので隅々まで。スリッパの底面も忘れずに拭く。
(1)窓を開けて空気を入れ替えたら、窓枠、ガラス面の汚れを中巾で拭く。
(2)便座や蓋は中巾で。タンクもこのときに拭き、汚れをぬぐう。
(3)ブラシで便器内部をこすり、ヘリや便器全体を雑巾で仕上げる。
(4)便器で使った雑巾とは別のもので、床を隅々まで拭く。
【台所】
【使ったら片づける、が基本。物のありかの把握が重要。】
食を扱う台所は典座(てんぞ)といい、禅寺にとって重要な場所のひとつ。台所の教え「典座教訓」に「眼睛(がんぜい)なる常住物(じょうじゅうもつ)を護惜(ごしゃく)せよ」という言葉がある。これは、物は自分の眼のように大切に長く使う、という意味。
食器や道具類は使ったらすぐに洗い、清潔な布で拭き、もとの場所に収納する。この習慣が物を大切に取り扱うことにつながり、愛着を持って使い続けることになる。
調理しながら片づけることを心がけていけば、使い勝手のいい台所に。
シンク周りや蛇口は中巾を使い、水垢や曇りを拭き取る。
調理台は浄巾で端からピカピカに磨く。物を出しっぱなしにしないこと。
おひつ類は大事な道具。蓋と身に分け、重ねて収納する。
煮炊きに必要な落とし蓋は、使ったらすぐに洗い、乾いた布巾で水気を取る。
『クロワッサン』1036号より