小野十傳さんが最強の厄除け神社と称賛していた、神奈川県の寒川神社へ参拝することにした辛酸なめ子さん。最寄り駅から歩いていると前方に鎮守の森が広がり、鳥居が見えてきた。
「必ず鳥居をくぐり、境内に入ること。その前に自分の中の毒素を吐き出すこと。それが重要でしたよね」
深呼吸をしながら、静かに気持ちを整えていく辛酸さん。鳥居で一礼し、境内に足を踏み入れる。
「参道の真ん中は神様の通り道だから端を歩きますね。まだ午前中だし、人も少なくて清々しい。歩いているだけで浄化されていくようです」
と、澄んだ空気を吸い込む。手水舎に行くと、コロナ対策で柄杓が取り払われ、樋から水が流れ続けている。そこで手を洗い、お浄めをする辛酸さん。神門を通っていよいよ御本殿へ。
「全国唯一の八方除の神社だけあって、すごく立派な本殿ですね。霊験あらたかな気持ちになります」
賽銭箱に小銭を入れると、小さな鈴を転がしたような音が立つ。二礼二拍手をし、心を込めて祈り、再び一礼。
「響き渡るような柏手を打とうと思いましたが、いい音って難しいですね」
社務所を訪ねると、権禰宜(ごんねぎ)の小野俊之さんが祈祷の説明をしてくれた。
「この用紙には住所、氏名、生年月日だけを書いて、あとはこちらでご祈祷内容を聞き取っていくんです。一番多いのは『八方除』ですが、安産祈願なら出産予定日、合格祈願なら志望校や試験日、病気平癒なら病名や手術日など、具体的に神職が記していきます。それをそのまま神職が読み上げてご祈祷します。みなさん、驚かれますね」