健康運、勝負運…上げたい運気別の「奇門遁甲」吉方位おでかけガイド
イラストレーション・いいあい 文・松本あかね
古代中国で兵法として始まり、平安遷都にも用いられた。
古代中国の三国時代に軍師・諸葛孔明(しょかつこうめい)が戦術に用いたとされ、一説には平安京遷都、明治の東京遷都でも使われた「奇門遁甲」。そのベースは土地や場所が持つ気、エネルギーを味方につけるという考え方にある。天文占術研究家の小野十傳さんに話を聞いた。
「旅行へ行くと、普段とは違った気を感じると思います。神社を訪れたら神聖な気持ちになるというのもそうですし、それ以外にもリラックスしたり、頭が冴えていいアイデアが浮かんだり。逆に落ち着かない、妙に緊張するというときもあるでしょう。その点、日常生活というのは自宅が中心。職場と往復し、買い物する店、遊びに行く街も決まっているとなると、同じ場所の同じ気を浴び続けることになってしまいます。でも、いったんその行動範囲の外へ出れば、気は変化し、新しい刺激が受けられる。そこで必要な気を取り込んでエネルギーレベルで体質改善を促すことができるのです」
もしも何かがうまくいかない、状況を変えたいのに変われないと感じているとしたら、こうした気の停滞にも一因があるのかもしれない。
「気は空気や水の流れのように巡っていて、方位によってエネルギーの性質が異なります。例えば『お金持ちになる』『仕事を成功させる』ために必要なパワーなど、目的に応じた気の巡っている方位があります。これを奇門遁甲では『吉方位』と呼んでいます。節分の恵方がその年の年神さまがいる方角にあたり、万事に吉とされるのに対して、奇門遁甲では目的によって吉方位が異なるのです」
単にそこに行けば運がよくなるはずという漠然とした期待ではなく、はっきりとした目的意識を持ち、正しいタイミングで必要な気やエネルギーを受け取りに行く。意思と行動力が結果をもたらす方位術といえそうだ。
お金、健康、人間関係……。 各々の吉方位は「十干(じっかん)」が示す。
では、吉方位には具体的にどのようなものがあるのだろうか。
「吉方位には10種類のメニューがあると考えてください。それを示すのが、かつて暦や時刻を表すのにも使われていた『十干』です」
十干は甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)という10からなり、奇門遁甲における主な性質は次のとおり。
甲(仕事)、乙(健康)、丙(お金)、丁(知恵)、戊(社交性・要領)、己(恋
愛)、庚(あらゆる凶作用)、辛(感性・芸術)、壬(勝負)、癸(秘密・逃げる)。
「これらが東西南北の360度を8つに分割した八方位に配置されるとイメージしてください。実際に占うときには『方位盤』と呼ばれる碁盤状の表を使います。十干をはじめとする6つの要素をあてはめ、その組み合わせから八方位それぞれの目的と吉凶を導きます。十干はこの中で最も重要な要素ですが、次に重視されるのが奇門遁甲の門に該当する『八門(はちもん)』。八方位を8つの門に見立てて、例えば『生門(せいもん)』なら、新しさへ向かう、みずみずしさを取り入れるといった意味がありますし、『開門(かいもん)』には可能性が開く、順調に進むなどの意味があります。『杜門(ともん)』は逆に閉じる意味があり、古いものが吉。門をくぐったその先で、物事がどう進展していくかを象徴的に表しているため、吉方位へ出かけたとき、その土地ではどんな行為が開運につながるかを知るヒントにもなるのです」
吉が凶に暗転!? 開運に伴う副作用にも対処を。
今回は、年単位のスパンで吉方位を導き出す年盤と月ごとの吉方位を見る月盤、2つの方位盤を組み合わせて、2025年の春先までの「魅力運」「健康運」「金運」「勝負運」がよくなる4つの吉方位を、それぞれ小野さんに教えてもらった。
「一つ気をつけたいのは、どんな吉方位にも副作用が伴うこと。例えば丁は『求智の方位』と呼ばれ、知恵がつき、頭の回転がよくなる吉作用がありますが、同時に気が強くなる、疑い深くなるといった副作用が出る場合も。それで人間関係がギクシャクすれば、結果的に吉が凶となりかねません。こうした力のバランスをとるために、吉方位へ出かけたら副作用を抑えるアクションを心がけましょう」
東洋の占いのベースとなる「五行相剋図(ごぎょうそうこくず)」によれば、十干は宇宙を構成する木・火・土・金・水の5つのエレメントのいずれかに属しており、エレメント同士は相反する2つの関係を持つ。一つは水が木を育み、木は火の勢いを増すように、時計回りに隣り合うエレメントの性質を生かす「相生(そうじょう)」の関係。もう一つは木は土を刻して根を張る、水は火を消すといった相手を打ち負かす「相剋」の関係。次ページから紹介する占いでは、この関係をもとに、副作用を抑え、吉方位のエネルギーを高める開運行動と、副作用を増幅し、エネルギーを削いでしまうNG行動もあわせて紹介しているので、参考にしてほしい。
「吉方位へ行ってから60日間は効果が高く、次の60日間で徐々に薄れ、また次の60日間で……という具合に効果が弱まりつつも持続します。行く先は自宅から遠ければ遠いほど、長く滞在するほど効果が上がります。その際、ホテルや旅館は1カ所に決めるのが望ましい。遠くに行けない場合は、日常の中で取り入れることを意識して。その際は大きな通りを1本越えるなどを目安に。初詣、旅行、日々の散歩コースに取り入れてみてください」
⚫︎東洋の占いの基本、五行相剋図。
⚫︎東
魅力を身につけるには東の水の豊かな土地へ。
⚫︎南東
家族の健康を願うなら南東の方角の森へ。
⚫︎北西
賢く稼ぎ、運用する。金運を高める北西へ。
⚫︎南西
勝負で自分を輝かせるには南西にある若者の街へ。
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