くらし

健康を守るには、除菌よりもまずは「清掃」を。効率よく家の清潔を守る6つのルール。

  • イラストレーション・木下綾乃 文・新田草子

効率よく無理なく家の清潔を守る、6つのルールと基礎知識。

空気の流れを見極め、ピンポイントで掃除。

「家の中には気流があり、ほこりもウイルスもそれに乗って移動します」

と、松本さん。そこに着目すると、汚れの〝溜まり場〟が見えてくる。

「空気の流れがぶつかり、ほこりなどがせき止められる壁はその代表格。壁にほこりがついているのを見つけたら、その下の床も含めて定期的に掃除を」

室内の空気を吸い込むエアコンや、静電気によって空気の流れが生まれるテレビなど家電製品の周囲も、ほこりなどが溜まりやすいところ。化学繊維のモップなどで手入れを心がけよう。

「ちなみに、床に物を置くとそれも汚れが溜まる〝小さな壁〟に。何もなければ汚れは隅に溜まるので、掃除もしやすくなります。物は必要以上に床に置かないようにしましょう」

動作や窓開けに注意し汚れの散乱を最小限に。

家の中の気流の多くは、実は人間の動きによって生まれている。ゆえに、

「どたばた掃除するとほこりが舞って逆効果。汚れを見つけたらゆっくりと静かに取り除きます。掃除のタイミングも、ほこりが静まっている起床直後か帰宅してすぐがベストです」

また、掃除となるとつい窓を開けたくなるものだけれど、

「風でほこりが舞い上がり、これも逆効果。換気は掃除が終わって30分ほど経ってから行うのがおすすめです」

掃除には順番があると知ろう。

「拭き掃除は乾拭き、水拭き、洗剤拭き、アルコール拭きの4つに大別されます。このうち最近推奨されているのがアルコール拭きですが、汚れたところにいきなりアルコールを使うと、溶かされた汚れが表面にある病原体をオブラートのように包んでしまいます」

その状態でごしごしと拭くと、かえって病原体を塗り広げることに。

「水拭きや洗剤拭きも同様です。まずは乾拭きで表面の病原体を大まかに取り去ってから。これが正しい手順です」

拭き掃除&掃除機は方向を意識して。

拭き掃除でもうひとつ注意したいのが、拭くときの方向だ。

「ジグザグ状に行って戻ってを繰り返すと、拭いた場所に、クロスについた汚れが再付着してしまいます」

ひとつ上のイラストのように、一筆書き風に一方向に動かすのが正解。

「また、掃除機はヘッドのローラーの性質上、引き寄せるときに汚れを吸い取る力を最も発揮します。掃除機がけは、押すよりも引く動作をゆっくりと行うようにするのがコツです」

日々の小さな始末を大切にする。

「病原体は、ほこりや水滴など、人間の活動によって出たものに宿ります。温床となるものを都度取り除くことが、健康被害のリスクの軽減に」

例えば食事のあとのテーブルや、歯磨きの後の洗面所をキッチンペーパーでさっと拭く。トイレを使ったらトイレットペーパーでドアノブや水洗レバーをひと拭きする。

「たった数秒で不要物の量が減り、掃除もラクになります。活動のあとの〝始末〟をぜひ習慣にしてください」

自分の安全にも配慮した掃除法を。

清潔を保てる一方で、病原体に接するリスクも高くなるのが掃除。

「ほこりを吸い込んで即感染ということは考えられませんが、マスクをするに越したことはありません。とくに注意したいのはトイレです。狭い空間で、水洗による病原体の飛散もあり得る場所。不必要に便器に顔を近づけないようにしましょう。汚れが溜まりやすいトイレブラシは、ブラシ部分にビニール袋をかぶせて掃除するのも一案。使用後のビニール袋は裏返してゴミ箱へ」

お話を伺ったのは

松本忠男 さん (まつもと・ただお)

医療環境管理士

医療機関で長年環境衛生に携わった経験を生かし、国内外で清掃指導を行う。著書に『健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)、『掃除を減らして健康になる「始末の習慣」』(廣済堂出版)など。

『クロワッサン』1034号より

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