小学生の頃は常にテストで満点を取っていた子どもが、なぜ中学生になって成績が落ちてきたのだろう……。
「小学生の頃は単純に暗記すればよい学習内容が多いため、記憶に頼る海馬系の活動が高いと成績がよい。ですが中高生になるとワーキングメモリを使う“前頭葉依存型”にならないと、記憶だけでは対応できなくなる。その場で情報を組み合わせ、答えを見つける課題が多くなってくるのです」
人類は、進化の過程で記憶よりも前頭葉、つまりワーキングメモリを発達させる道を選んだという。
「環境がずっと変わらなければ記憶だけで生き延びられる。しかし人類は常に環境を変えてきたので、生存、拡散するためには、その都度答えを出す戦略を取る必要があったのです」
私たち人間が今日まで生き延びられているのは、ワーキングメモリのおかげと言えるのかもしれない。