くらし

男であれ、女であれ社会が「かくあるべし」と“期待”するものを疑ってみる――D・Iさん(団体職員)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、フェミニストを名乗る男性の言葉から、男女平等を考えます。
  • 文・澁川祐子

男であれ、女であれ社会が「かくあるべし」と“期待”するものを疑ってみる――D・Iさん(団体職員)

1979年5月10日号「男の中に味方ができた! 『男性フェミニストの会』誕生」より

男性が集まって、お互いの生きかたや夫婦のありかた、子どもをもつ自由、もたない自由について話し合う「男性フェミニストの会」。結成は1978年末で、月に2回、メンバーの自宅で開かれているという会を紹介しています。

この先駆的な会の参加者は、ジャーナリストや教師、翻訳家など。インタビューに登場する6人のうち、半数は日本で暮らす外国人男性が占めているところに、当時の日本人男性の意識はまだまだ低かったのではないかと逆に想像できます。

そのうちアメリカ出身で、結婚12年目の団体職員の男性は、4年ほど前から妻の意識が変わったことを機に、フェミニズムに関心をもつようになったと語ります。

フェミニズムは、とかく女性と結びつけられて語られるもの。しかし、彼にとってフェミニズムとは、人間関係の真の平等を目指すものだととらえています。そのためには、社会の罠にはまらないように〈男であれ、女であれ「かくあるべし」と“期待”するものを疑ってみる〉ことが必要だというわけです。

最近では「男性学」も話題に上るようになりましたが、ジェンダー規範を押しつけられることの息苦しさは、男女どちらにも通じること。女の問題は、男の問題でもある。そのことを男性からの発言を糸口に、いま一度噛み締めたいものです。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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