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まず初めにいい物を見ることなんですね――辻清明(陶芸家)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回はうつわの目利きの言葉に、見る眼を養う最良の方法を学びます。

文・澁川祐子

1977年9月号「暮しの中の『うつわ』」より
1977年9月号「暮しの中の『うつわ』」より

まず初めにいい物を見ることなんですね――辻清明(陶芸家)

辻清明さん(1927-2008)、辻協さん(1930-2008)という陶芸家夫婦による、古今東西のうつわを語る連載。初回のガラスに続き、2回目では「染付け」が取り上げられています。

染付けとは、白地に藍色の絵模様をつけたうつわのこと。

中国では「青花」、ヨーロッパでは「Blue & White」と呼ばれ、広く親しまれてきました。日本では江戸時代に焼かれた古伊万里のものがよく知られています。

染付けが好まれてきた理由を<藍一色であること。料理との相性がいい。盛りやすいんですね。たいがいの料理を盛っても無理がない>と解説しています。やきものの世界では<“染付けに始まって染付けに終わる”っていわれているくらい>といい、やきものの入門として、実物を見たり本を読んでみたりすることをすすめています。

誌面では、中国の明時代につくられた鉢や、伊万里中期のそば猪口、フランス19世紀の大鉢など、次々と愛用のコレクションを披露。良し悪しを見分ける判断材料には、藍の色味や形などいろいろな要素があるといいますが、「まず」と前置きしてくだんの名言が登場します。

<初めにいい物をみる>のは、やきものを鑑賞する眼を育てるのにいちばんいい方法だと語る清明さん。それはうつわにかぎらず、どんなものにも共通する目利きへの第一歩といえるでしょう。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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