髙見澤さんは’80年代初頭、兄が赴任していた西ドイツに興味を持ち、まだ東西を隔てていたベルリンの壁を目の当たりにする。執筆中の昨年は取材旅行でミュンヘンに。
「街がきれいになってお店も変わっていましたけど、旧市街地と呼ばれるところは当時のままあるのが素敵ですよね。東京は、僕が高校時代の渋谷や六本木では驚くほど違う(笑)。ふと変わらない場所に行くと、小説の主人公のように過去の記憶が蘇りますよね。そこが、ヨーロッパの魅力だと思います」
今年は恒例のTHE ALFEE全国ツアーが延期に。緊急事態宣言下は髙見澤さんも悩んだという。
「さすがにニュースを見ていると不安になりましたね。そこには希望がない。じゃあ僕にとって希望は何だ? と問いかけたら新曲や新たな小説でした。
そこからはもう創作三昧で、楽曲は7曲、小説も3作目を書き始めました。そうやって生まれた作品が、未来の希望になるかどうかはわかりませんが、とにかく何か新しいものを生みだしていかないと、僕みたいな者の存在価値などないですから。そういうものが未来のコンサート、次の小説に繋がっていけばいいですからね。性格的に明るいほうではないので、創作することで自分を鼓舞しているのかもしれません」
日々何かしら、文章やプロットらしきものを書いたり、曲を作りためたりしている髙見澤さんの日常が、今後の創作に繋がっていく。
「料理も掃除も得意ではないし、ダメ人間の典型です(笑)。なので音楽と小説だけは、今後も二刀流で突き詰めていきます」