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いま改めて見つめたい、親と子の絆。金子エミさんの家族の物語。

子は親に、親は子に何を見る? それぞれに違う絆の在り方。パーツモデルの金子エミさんの場合は?
  • 撮影・青木和義 ヘア&メイク・木村三喜 文・嶌 陽子 プール撮影協力・ヨネッティー堤根

我が子の個性を丸ごと受け止めて。二人三脚で目指す、水泳世界一。

(右)金子エミさん パーツモデル、美容家 (左)カイトさん ダウン症スイマー

自然と手をつないだり、ハグしたり。金子エミさんと息子、カイトさんの仲睦まじげな様子は、見ているこちらを温かな気持ちにさせてくれる。お互いの顔を見る眼差しは、とても優しげだ。

「ママの笑顔が大好き」と話すカイトさん自身、笑顔がとびきり素敵で、場を自然と和ませる才能の持ち主。23歳の現在、ダウン症のスイマーとして数々の大会で優勝。アジアのダウン症水泳では敵なしの記録保持者だ。

「普段は週に4〜5回、大会前は週に6回ほど練習しています。今は複数のコーチに見ていただきつつ、自主練も欠かしません。特定のクラブに所属しているわけではないので、あちこちのプールを回っているんです」

そう語る金子さんはパーツモデル、そして美容家として活躍中。ただし、ここ数年はカイトさん中心の多忙な生活を送っている。

「次の目標は数年後に行われる世界ダウン症水泳選手権大会。それに向けて、毎日2人で頑張っています」

「ありのままでいい。そうカイトに教えてもらいました」(金子さん)

音楽に合わせて踊りだすカイトさんを見て、金子さんもこの笑顔。

ダウン症に関する本を閉じ、目の前の息子を見つめ続けた。

カイトさんが生まれ、ダウン症だとわかった当初はショックを受けたという金子さん。仕事を辞めることも考えたが、周囲のアドバイスや持ち前の前向きな性格もあり、やがて「仕事と両立しながら育児を楽しもう」と気持ちを切り替えた。

「ダウン症に関する本を買ったこともあります。でも、書かれているのは病気の可能性など、ネガティブなことばかり。怖くなってすぐに閉じました。本は読まなくていい、その代わり目の前にいるカイトをしっかり見て、自分の直感を信じて育てていこうと決めたんです」

11歳で、水泳大会に出場し始めた頃のカイトさん。母親の金子さんと、弟のリオくんと一緒に。

金子さんの子育ては、一言でいうとおおらか。無理強いはしない。子どもの気持ち、やりたいことをできるだけ尊重する。「カイトがものすごく頑固だから、闘っても負けてしまうというだけのこと」と笑う金子さんが、こんなエピソードを話してくれた。

「小さい頃、朝なかなか保育園に行こうとしないことがあって。私が急かしても、びくともしない。よく見ているうちに、特定のマークがついた靴じゃないと出かけたくないんだってことが分かったんです。『やっぱりモデルの子だからおしゃれなのね!』って。私、能天気なんですよね(笑)」

2007年に書籍を出版、美容家としてデビューした頃の金子さん。小学生のカイトさんも撮影現場でお手伝い。

カイトさんはスカートをはくのが好きで、髪も長く伸ばしている。それも金子さんは否定しない。

「この子と過ごすうちに価値観が変わりました。健康で幸せならそれでいい。人間はありのままの姿が一番美しいって思うようになったんです。それからは全ての人に対して、要求や理想を押し付けなくなりました」

唯一望むのは、“人のためになる人間になってほしい”ということ。

だから、ダウン症の子を持つ方々がカイトの泳ぐ姿を見て勇気をもらったと言ってくださるとうれしいですね」

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