「対人間のトラブルを減らしたいなら、俯瞰的な視野を持つことは有用です。相手の立場で考えられ、目の前の状況も客観的に捉えられるので、予防策や問題解決法がわかるようになります」
でも「俯瞰的に物事を捉えよう」と、意識してできるものではない。そこで役立つのが性格分類だ。
「私たちには『他人も自分と同じ感受性を持っているはずだ』という思い込みがあるから『なぜあの人はこんなことをするのか』『なぜわかってくれないのか』などと怒りが湧くのです。性格分類を知れば、人それぞれ感受性には違いがある、ということを実感できます。また、自分が人の言動を、どんな感受性の色眼鏡で見ているかもわかります。この事実を知るだけでも、性格分類の意義は充分あるんです」
今回名越さんが教えてくれたのが、入門に最適の“類人猿タイプ分類”。
「ゴリラ、ボノボ、オランウータン、チンパンジーの4種の生態の違いを、人間の性格類型に当てはめたものです。今回は簡単なチェックのみで分別できるようにしました。それぞれ求めているものが全く違う、ということを大局で理解すれば、対人関係の現場で無駄な衝突を避けられたり、より良い成果をあげるヒントも見えてくるでしょう。単純な分類を知るだけでも、物事の受け取り方は変わるものです」