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着物をいつくしむ心がなければ、長く着ることができない――須賀隆子(着物コンサルタント)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、着物を愛でる人の言葉から、ものとの付き合い方を考えます。

文・澁川祐子

1979年1月10日号「ふだんから和服を着なれている女たちの美的感覚」より
1979年1月10日号「ふだんから和服を着なれている女たちの美的感覚」より

着物をいつくしむ心がなければ、長く着ることができない――須賀隆子(着物コンサルタント)

ふだんから着物を愛用している5人の女性が、我が着物愛を語る企画。自ら着物を織っているという30歳の主婦から、お茶やお花のお稽古のときには必ず着物を着ているという25歳のスタイリストまで、登場する人の年齢や職業はまちまちです。

なかでも着物コンサルタントの須賀隆子さん(36歳)は、中学生のときに着物を縫って以来、毎日着物を着て暮らしたいと思っていたというほどの筋金入り。日常着としての着物を50枚ぐらい持ち、〈着慣れても着慣れても、着物っていいもんんだなあと思います〉と語ります。

そんな須賀さんの持論は〈着物を愛する人に悪い人はいない〉。その理由として、今回の名言が続きます。

着物を長く着ようと思ったら、日頃の手入れが必要不可欠。着たあとは風を通し、きちんとたたんで収納する。〈洋服のように値が安くはないし、雨にあたったらダメになってしまうものもあります。いい着物ほど長く着たいと思いますから、大切に心をこめて着なくてはなりません〉。それだけに〈いつくしむ心〉が生まれてくるというわけです。

いまや、ますます便利なものが簡単に手に入る時代。着物にかぎらず、ひとつぐらい手のかかる大切なものを持っておくことは、かえって心の余裕を与えてくれるのかもしれない。そんなふうに思わせてくれる言葉でした。

※肩書きと年齢は雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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