ふだんから着物を愛用している5人の女性が、我が着物愛を語る企画。自ら着物を織っているという30歳の主婦から、お茶やお花のお稽古のときには必ず着物を着ているという25歳のスタイリストまで、登場する人の年齢や職業はまちまちです。
なかでも着物コンサルタントの須賀隆子さん(36歳)は、中学生のときに着物を縫って以来、毎日着物を着て暮らしたいと思っていたというほどの筋金入り。日常着としての着物を50枚ぐらい持ち、〈着慣れても着慣れても、着物っていいもんんだなあと思います〉と語ります。
そんな須賀さんの持論は〈着物を愛する人に悪い人はいない〉。その理由として、今回の名言が続きます。
着物を長く着ようと思ったら、日頃の手入れが必要不可欠。着たあとは風を通し、きちんとたたんで収納する。〈洋服のように値が安くはないし、雨にあたったらダメになってしまうものもあります。いい着物ほど長く着たいと思いますから、大切に心をこめて着なくてはなりません〉。それだけに〈いつくしむ心〉が生まれてくるというわけです。
いまや、ますます便利なものが簡単に手に入る時代。着物にかぎらず、ひとつぐらい手のかかる大切なものを持っておくことは、かえって心の余裕を与えてくれるのかもしれない。そんなふうに思わせてくれる言葉でした。
※肩書きと年齢は雑誌掲載時のものです。