食品ロスを減らすために、今すぐできる7つのこと。
そんな普通の心がけで家計も税金もセーブでき、良い循環が生まれるのです。「食品ロス」ジャーナリストの井出留美さんにお話を伺いました。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・柿崎サラ 文・新田草子
1.冷蔵庫を「便秘」にしない。
「体が食べることと排泄で成り立っているように、冷蔵庫も循環をよくすることが大事です」
と、井出さん。好物を切らしたくない、安かったから、と食べ物がぎっしりと詰め込まれた冷蔵庫や冷凍庫は、食品ロスの温床に。買い物に行く前に冷蔵庫の中をチェックしてリストを作り、ムダなものを買わない習慣を身につけよう。
「また、これだけ災害が頻発している昨今、常温で保存できる缶詰やレトルト食品をもっと活用してもいい。使いながら買い足す“ローリングストック”にすれば、災害の備えにも、食品ロスを減らす一助にもなります」
2.食品ロス量を「見える化」する。
自分ごととして捉えるために始めたいのが、1カ月にどれだけ捨てているかを把握すること。食べ残しを冷蔵庫で腐らせてしまった、消費期限が過ぎてしまった。そんな食品が出たらノートに記録しておく。
「レコーディングダイエットと同様、数値を記録し見える化することでだんだんと量が減っていきます。神戸市など自治体が中心となって取り組んだ例で、その効果が報告されています」
大まかな金額を書いておけば、節約のモチベーションも上がる。
例えば、こんなふうに記録しておく。
3.生ごみの量を減らす。
家庭の食品ロスの大半は過剰除去、つまり野菜などの食べられる部分を捨てていることから起きている。こうした可食部をできるだけ活用し、「生ごみ」にしないことが、食品ロスの軽減に。
「また、生ごみは80%が水分。この水分が、焼却コストがかさむ大きな原因です。捨てるときはしっかりと水を切りましょう」
井出さんのおすすめは、生ごみ乾燥機。自身も下の「パリパリキューブ」を愛用している。
「重量が半分以下になり、においや小バエも防げます。生ごみ乾燥機購入に助成金が出る自治体もあるので、購入を考えているなら問い合わせてみては」
4.賞味期限は目安と考える。
弁当や生菓子などに表示される「消費期限」は、食べても安全な期限。一方で比較的日持ちがする食品に表示された「賞味期限」は、おいしく食べられる期限のこと。あくまで目安であり、それを過ぎたら絶対に食べられないということではない。
「そして、消費期限も賞味期限も、実際に日持ちする日数に1より小さい“安全係数”をかけて、短めに設定されている場合がほとんどであることもぜひ知っておいてください」
賞味期限ができるだけ先の商品を選んで買いたくなるのが消費者の心理だけれど、
「多くの小売店では賞味期限が残り3分の1を切った商品は棚から撤去する“1/3ルール”なる慣習があり、返品されたものが食品ロスに。賞味期限が近いものから順に購入することが、食品ロス軽減につながります」
一方で、家などでの管理状況が悪ければ賞味期限より早く味が落ちることもあり得る。
「メーカーが決めた日付だけにこだわらず、自分の目や鼻で判断することも大切だと思います」
消費期限と賞味期限はこう違う。
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