くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】子どもに自分の理想を押し付けてしまいます。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は親に理想を押し付けられて育ち、我が子にも同じことをしてしまうと悩む、主婦からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>

幼い頃から母親に理想や期待を押し付けられてきました。私のやりたい事は応援してくれず、大学の進路も母に逆らえず、母の希望の学部に進むことになり、おかげで自己肯定感も育たず友達にも心を開けず、40歳になっても自分に自信が持てません。
人気者の女の子を羨ましがる子供でした。
幸い、結婚して子供にも恵まれましたが、今度は私が子供に理想を押し付けるようになりました。5歳の娘ですが、自分の持っていた可愛い女の子のイメージとは違い、幼稚園でお調子者の娘を見ていると恥ずかしく思います。口下手なこともありママ友とも壁を作ってしまい、コンプレックスから抜け出せず、可愛く人気者の女の子やそのママを羨ましく思ってしまいます。本当はママ友もたくさん作りたいし、ありのままの娘を受け入れたいです。自分に自信を持つことからだと思いますが、資格も取り柄もなく、何かを始めるにも勇気がなく一歩が踏み出せません。力をくれる言葉を教えてください。
(ショコラ/女性/40歳専業主婦です。幼稚園年中の5歳の娘がいます。)

山田ルイ53世さんの回答

「ありのままの娘を受け入れたい」のなら、ありのままのご自分をショコラさんが受け入れること……いや、綺麗ごとかもしれませんが、これに尽きるのではないでしょうか。
文面には、「まずは自分に自信を持つことから」とありますが、つまりは、「今の自分ではない何者か」にならねばという想いが、お子さんに関しても、ご自身のことについても、とにかく全てにおいて強すぎる気がするのです。
相談者には、「自分に自信など持たなくとも、そこそこ快適に生きていける」ことをぜひご理解頂きたい。

大体、「自己肯定感」とは、自信とは似て非なるもの。
資格や取柄で得られるものだとは思いません。
むしろ、「そんなものがなくとも、ただ生きているだけで良い」というものなのではないでしょうか。
一発屋の例など、取るに足らないのは百も承知ですが、筆者は自分の現在の仕事、活動、全てにおいて、”自信”など持ったことがありません。
「やれることをやろう」というだけです。
勿論、反省も後悔も、コンプレックスも山ほどありますが、それはそれ。
おかしな物言いですが、もっと自分を諦めてあげて欲しいと思います。

相談者曰く、”お調子者”の娘さん。
彼女のことを、「恥ずかしい」などと感じているものだから、ママ友達の間で委縮してしまうのではないでしょうか。
お調子者で、結構。
筆者などは、むしろ頼もしく感じます。

大体、5歳の子供など、男女を問わず似たようなもの。
娘が幼稚園生の頃、「最近のブームが鼻くそを食べること」だと妻から聞き、愕然としました。
小学校に上がっても、日がな一日、買ったばかりの消しゴムをゴシゴシやって”消しカス”生産に余念がありません。
“ねり消し”を作るためです。
豆腐をミキサーにかけ、豆乳を作るような愚行に思わず天を仰ぎます。
そんなものです。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。

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