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小泉武夫さんが語る魚食、「極上の味わいはアラにあり!」

捨てるのはあまりにもったいない。魚本来の旨みや栄養が詰まっているアラの魅力について、小泉さんがたっぷり語ります。

撮影・青木和義(小泉さん)、谷 直樹(商品) スタイリング・高島聖子 文・嶌 陽子

小泉武夫(こいずみ・たけお)さん●農学博士。専門は醸造学、発酵学、食文化論。食関連の著書は140冊以上。25年前から毎週、日本経済新聞で食に関するコラムを連載中。
小泉武夫(こいずみ・たけお)さん●農学博士。専門は醸造学、発酵学、食文化論。食関連の著書は140冊以上。25年前から毎週、日本経済新聞で食に関するコラムを連載中。

「これほどおいしくて栄養価が高く、しかも経済的な食べ物はないですよ」

世界中の食を味わい尽くしてきた小泉武夫さんがこう絶賛するのが魚のアラ。アラとは、魚の身の部分以外、つまり頭や骨、血、内臓などのことだ。小泉さんがそのおいしさに目覚めたのは、子どもの頃だったという。

●魚のアラとはどこの部分?
頭、目玉、骨、鰭(ひれ)、皮、血合い、浮き袋、胃袋、心臓、肝臓、腎臓、腸(はらわた)、砂ずり、中落ち、腹の下、白子、卵巣 ほか

(内臓、骨、目玉、ひれなど、身の部分以外のすべてがアラ。旨みと栄養がたっぷり。)

「私は福島県の小名浜(おなはま)漁港の近くで生まれ育ったんです。小名浜はカツオの水揚げ量が多いことで有名。そのカツオの中骨を血合いつきでぶつ切りにして味噌汁、つまり粗汁(あらじる)にするんです。合わせるのはいちょう切りの大根だけ。中骨についている血合いを食べると、ぬたーっとした、なんともいえない深いコクがあってね。脂も乗っていて、本当においしいんですよ」

今も自分でカツオの粗汁を作るという小泉さん。中骨だけでなく、頭も尾も全部入れて煮込む。

「作ったらすぐ食べないで、翌朝食べます。アラの旨みがさらに溶け出した“宵越しの粗汁”のうまいことといったら。最後はごはんにかけてぶっかけ飯に。これはおいしいもんですね。カツオは、身よりアラのほうが価値があると思っているくらいです」

カツオをきっかけに、アラの魅力に取りつかれたという小泉さんの口からは、聞いているだけで涎が出てくるような話が次々と繰り出される。

「カツオの心臓は、串に刺して焼くと、コリコリした食感がとにかくうまい。それから、なんといっても目玉。どんな魚でも、目玉のまわりのトロットロのゼラチン質が絶品なんです。骨もいいですよ。サンマの身やはらわたをきれいに食べた後、骨をカリカリに焼くんだ。その味がまたうまい。骨せんべいはサンマに限るね」

つい捨ててしまいがちなアラには、実は複雑な旨みが集中しているのだ。

「特に内臓は構造が複雑だから、身と比べて味が濃くて、奥行きがあるんでしょうね」

小泉さん作の小説『骨まで愛して』(新潮社)はアラ料理専門店を舞台にした人情物語。店主の粗屋五郎のアラ料理のレシピは合計368品に上る。登場する料理はどれも本当においしそう。
小泉さん作の小説『骨まで愛して』(新潮社)はアラ料理専門店を舞台にした人情物語。店主の粗屋五郎のアラ料理のレシピは合計368品に上る。登場する料理はどれも本当においしそう。
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