味だけではない。栄養という観点からも、アラは優等生だ。
「身の主な栄養素はたんぱく質でしょう。アラはそれだけじゃない。カルシウムやマグネシウム、リンなどのミネラルが豊富なんです。それからコラーゲンも多い。活力源のアミノ酸やペプチド、ビタミン類もたっぷりです」
小泉さんの肌に張りがあり、75歳の今もなお、元気であちこちを飛び回っているのは、普段からアラ料理を食べているからなのだろうか。
「私はね、行きつけの寿司屋に行くときは、小さなクーラーボックスを持っていくんです。お店の人も私がアラ好きなのを知っているから、とびきり新鮮なアラを分けてくれるんですよ」
そうして手に入れたアラを使って、“粗のごった煮”を作ることもあるという。4〜5種類の魚のアラをじっくり煮込んでから漉す。味付けは塩だけ。
「できたスープをすすると、おいしくて舌がしびれるんです。さらに、このスープを容器に入れて冷蔵庫で一晩冷やすと、翌朝、透明の上品な煮こごりができる。これをスプーンですくって、炊きたてのごはんの上にのせ、醤油をタラッとかける。熱々のごはんの上でさっと溶けていく煮こごりを見ているだけで、日頃のわだかまりがなくなってしまいます(笑)」