くらし

番組への投稿ツールの変化に思いを巡らす。│しまおまほ「マイリトルラジオ」

ラジオから聴こえる「お葉書でいただきました」の一言に弱い。

思わず「おっ」と前のめりになり、内容が気になってしまう。ラジオにわざわざ葉書を送るような人、あなたはどんな人だろう?と。それが10代、20代だったりすれば、もう絶対に聴き逃すまい、となる。

FAXも然り。むしろ今は手紙や葉書よりも珍しいかもしれない。わたしが深夜放送を聴いていた中学生の頃はラジオにリアルタイムで投稿できる最新のツールだったのに。

今はもっぱらメールかSNSが主流。SNSなどはハッシュタグをつけて呟くだけで番組が勝手につぶやきを拾ってくれる。お手軽で、気持ちも楽だ。採用されても、されなくてもいい。そんなスタンスで呟いて、パーソナリティーが読んでくれたらラッキー。

最近はテレビでもSNSの投稿が画面に表示されたりする。ニュースと視聴者の感想が同時に流されるって、詰め込んでるな〜って思いながら観ています。

思い起こせば、昔好きだったテレビ番組。手紙で送られてきた体験談をもとに再現ドラマを作り、それを観た視聴者がFAXや電話で意見を送る、というもの。嫁姑問題、
ご近所トラブル、心霊体験……。みんなでワイワイ、怒ったり笑ったりしていて楽しかったなあ。とてもラジオ的な番組だった。

そう、手紙やFAXって送り主の年齢や顔がなんとなく想像できる気がする。SNSはそれがないからちょっと不気味に感じるのかも。これって、中年のボヤキですかねえ。

しまお・まほ●エッセイスト、漫画家。1997年『女子高生ゴリコ』でデビュー。著書に『マイ・リトル・世田谷』。

『クロワッサン』1008号より

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