くらし

1週間ぶりのラジオで日常を実感する。│しまおまほ「マイリトルラジオ」

南インド・チェンナイへ取材旅行に。経由地バンコクまで6時間、そこからチェンナイまで3時間。長い空の旅に備えて……前日にNetflixのダウンロードに勤しんだ。少し前まではラジオだったのだけれど。観たいものをここぞと観るには睡眠時間を削るか長距離移動くらいしかチャンスがないのだ。ラジオは家事をしながらでも聴ける。

友人に勧められたオリジナルドラマ『マスター・オブ・ゼロ』『セックス・エデュケーション』、『テラスハウス』は自宅の近所で撮影されているというもっぱらの噂。そして、巷で話題の『全裸監督』も。アダルトビデオ業界が舞台のドラマ。これはホテルで時間が空いた時に観ることにしよう。

そんなわけで今回の旅行、取材する一方で「ネトフリ一気見」の旅にもなったのである。

帰国した夜。ラジオをつけるといつもの時間にいつもの声。たった1週間ぶりだが、なんだかとても懐かしい。日常に戻った実感がする。わたしのいない間も、ずっとこうして放送が流れていたんだな。当たり前のことだけれど、なんだか不思議な気分。そして不意にラジオから「『全裸監督』観たんだけどさ……」と、タイムリーな話題。ボリュームを上げ、ひとりラジオ相手にウンウン、そうそう、へーそういう解釈なんだー、と、相槌。

嬉しいなあ、もっと聴きたいなあ。

空路ではネトフリに浮気してしまったけれど、やっぱり持つべきものはラジオという名の友達なんだな。

しまお・まほ●エッセイスト、漫画家。1997年『女子高生ゴリコ』でデビュー。著書に『マイ・リトル・世田谷』。

『クロワッサン』1006号より

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