にゃんこが日本を制覇!?│山口恵以子「アプリ蟻地獄」
イラストレーション・勝田 文
突如現れた猫軍団が九州の果てから闘いを挑んで勝ち進み、日本を制覇するゲームアプリ。
名前を聞いたとき私の頭に浮かんだのは「ねこあつめ」や「こちょねこ」のような、可愛さを前面に出したゲームアプリだった。しかし、開始早々、ハリウッド映画ばりの荘厳な音楽に乗ってあまり可愛くない猫キャラが画面に登場し、過ちを悟った。これは「猫ゲーム」ではない、「戦闘ゲーム」なのだ。
まずは味方の猫キャラの生産。キャラ画面の右下に表示される数値以上に金が貯まると光るので、タップして味方を生産する。その手法で増産して軍勢を整える。飛び道具のにゃんこ砲も光ったら発射OK。
攻略法は速攻、安価な猫キャラを壁役に使っての遠距離攻撃など。
ちなみに敵は猫以外のキャラで、犬とかヘビとか色々いる。
ステージをクリアするごとに経験値が増える。それを利用してパワーアップし、強力キャラも取得できる。
日本攻略の次は宇宙編、未来編へと新しいステージが拡がって行く。
……でも、私はこのアプリが苦手だ。だって猫キャラが可愛くないなら「にゃんこ」でも「わんこ」でも「インコ」でも大して違わないし。
それより我家はリアル「にゃんこ大戦争」の真っ只中にある。ボニーとエラ、ボニーとタマが一触即発で、ちょっと目を離した隙に家の中は戦場と化してしまう。
私は毎日猫たちが接触しないように気を遣って、もう大変です。
うちは今、どのステージなの?
山口恵以子(やまぐち・えいこ)●作家。近著に『夜の塩』(徳間書店)。
『クロワッサン』1004号より
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