くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】馬鹿まじめな自分に生きづらさを感じています。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回はまじめすぎて損をしがちな女性からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>
馬鹿まじめな自分に生きづらさを感じています。
家事と育児と仕事でヘトヘトになるのがわかってるのに、どれにも手を抜けず、過労で倒れたことも何度かあり、多忙を極め何を食べても、なかなか健康的な体重になれません。
職場にはお局化したワーママが複数存在し、そうはなりたくないと思うけど、元気そうにまるまるしている彼女達を見ると、うらやましくもなります。
仕事中に夕飯の食材を買って会社の冷蔵庫に入れていたり、上司が出張の日は自部署の電話にすらでない。そんなずる賢さを持ち合わせてないと、両立は難しいのでしょうか。私の会社が特殊なんでしょうか。お局ワーママには「あなたが仕事をすると、私達も仕事をしないといけなくなるから迷惑」と言われています。適当にサボって彼女たちに合わせれば楽かもしれませんが、性格上、仕事をサボれません。どうしたらよいのでしょうか。 (はなママ/女性/輸送会社の事務をしている30代後半の会社員です。保育園と小学生3年生の子供がおり、共働きのため、毎日バタバタです。)

山田ルイ53世さんの回答

「仕事中に夕飯の食材を買って会社の冷蔵庫に入れる」のはまだしも、色々と厳しい今のご時世に、「あなたが仕事をすると、私達も仕事をしないといけなくなるから迷惑」などと宣(のたま)う「お局ワーママ」が幅を利かせる会社が存在し、その経営が成り立っているのは驚きです。
よほど、アットホームな会社なのでしょうか。
勿論、皮肉です。

とは言え。
お局達の勤務態度、その成果(の無さ)に対して、ヤキモキしたり、責任を取るべきは、上司のほうです。
「ずる賢い」と憤り、はなママさんがストレスを抱えることではない。

ご自身の時間・労力を割いてでも、彼女らを更生させようというなら、止めはしませんが、お勧めもしません。
面倒臭いし、何よりしんどい。

私事ですが、筆者は、お笑いに対して非常に消極的で、ネタも書かない人物と20年近く芸人稼業を共にしています。
結果、
「自分が頑張れば、それで良いのだ!」
との悟りに達しました。
淡々と自分の仕事を進め、お局様の戯言は適度にスルー。
これが得策かと。

何事にも真面目で、完璧にこなそうという、その姿勢はご立派。
しかし、「ヘトヘトになるのがわかってるのに、どれにも手を抜けず」、幾度も「過労で倒れた」ことがあり、「何を食べても、健康的な体重になれない」……答えはもう出ているかと思われます。
相談者は、ご自分の能力を超えたことをやろうとしている。
と言うか、やってこられた。
この辺で、何が一番大切なのか、優先順位をはっきりさせるべきです。
言うまでもなく、今、手を抜かず遂行すべきは、ご自身の心と体の健康、ひいては、ご家族の幸せです。
その目的に向かって、仕事の量を減らす、あるいは、家事・育児の軽減を試みることを"サボり"とは言いません。
マネージメント、自己管理と言います。

とにかく、全部は無理。
「ここまで!」
と、しっかり枠を定め、その範囲で完璧を目指してみては。
人間、ゴールがあってこそ、42.195キロも走れるというもの。
何も知らされず、只走れと言われては、世界のトップランナーとて5キロか10キロもいかぬうちに立ち止まってしまうことでしょう。
「性格上」などと悠長なことを言っている場合ではありません。
一刻も早く、
「全部は無理だったのだ」
としっかり自分を諦めてあげて下さい。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
⇒ 公式ブログ

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