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ピルを飲んでいます。年齢的に、そろそろやめるべきでしょうか。【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • イラストレーション・小迎裕美子 構成・越川典子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q.ピルを飲んでいます。 年齢的に、そろそろ やめるべきでしょうか。

過多月経で、30歳くらいから低用量ピルを飲んでいます。とても体調はよく、医師からもやめましょうとは言われません。ただ、もう49歳になり、友人から「まだピル飲んでいるの?」と言われ、少し心配になってきました。このまま続けていいか悩んでいます。年齢的には更年期だと思うのですが、どう判断するのでしょうか。もしピルをやめてしまったら、更年期症状がどっと出てくるのではないかと思います。(A・K 49歳 会社員)

A.まず、主治医と相談して 方針を決めましょうね。 更年期の治療はその後です。

A・Kさん、はじめまして。婦人科医の野末です。ご友人の言葉で少し不安になったのですね。疑問は、

①ピルを長期間服用して不都合はないか
②ピルをやめると、どうなるのか

の2つ。まず、1つめからお話ししましょう。主治医がいて、治療がうまくいっているようですので、長期間の服用も何ら問題ありません。

2つめの疑問にも関係してきますが、50歳前後となると閉経している可能性が高いのは確かです。閉経を迎え、月経困難症の治療が必要なくなった場合は、ホルモン補充療法(HRT)に移行してもいいと思います。ただ、避妊目的でも低用量ピルを服用しているなら、まだ閉経かどうかはっきりしていない場合はしばらく続けるほうがいいでしょう。

最終月経から1年、無月経が続いて初めて「閉経した」と確認できるんです。そして、その前後5年、トータル10年間がその人の更年期と言うんですね。閉経の平均年齢は51歳ですから、40代で閉経する人も、50代後半になって閉経する人もいるわけです。

A・Kさんがピルの服用をやめれば、更年期症状は出てくるとは思われます。今後、HRTなど更年期治療に入るのは有効ですので、まずは主治医に相談なさることです。

その際、一度ピルを休薬して、その後に血液検査をして、結果を見ながら主治医とともに方針を決めていくことになります。

【低用量ピルとHRTとの違いはどこか】

●低用量経口避妊薬(OC)、低用量エストロゲンープロゲスチン配合剤(LEP)
使用目的:避妊/月経困難症の治療に用いる薬
作用機序:排卵を抑制して子宮内膜を薄くするため避妊や月経困難症への効果がある
主な対象女性:原則的に月経のある女性=閉経前の女性が対象
女性ホルモン(エストロゲン)の強度:HRTの標準用量の約6〜8倍

●ホルモン補充療法(HRT)
使用目的:更年期障害や閉経後骨粗鬆症などのエストロゲン欠乏に伴う症状を治療する薬
作用機序:不足したエストロゲンを必要最小限補うので、エストロゲン欠乏に伴う症状に効果がある
主な対象女性:原則的にエストロゲンが低下した女性=閉経後女性が対象
女性ホルモン(エストロゲン)の強度:閉経前の卵巣機能の半分から1/4程度、またはそれ以下

低用量ピルもHRTも、どちらも女性ホルモンを使うが、質と量が違う。自分に合った方法を医師と相談して決めていくのが原則。出典:「40代! 女性ホルモンとの付き合い方」(バイエル薬品)より

相談しにくい、ということはないですね? 遠慮は無用です。よい医師というものは、必ず患者の立場に立って考えるもの。不安や疑問があったら、どんどん聞いていいですし、聞ける関係をつくることも患者のつとめ。メモ書きにまとめておき、医師に渡してもいいですね。

ピルにしろHRTにしろ、継続して治療するには、主治医と定期的に話し合いをした上ですすめることが原則です。HRTを始めると、1年に1回、婦人科系のがん検診をすることが必要です。

残念なことに、ピル服用をやめると、婦人科から足が遠のき、検診も受けなくなる人が少なくありません。ピルやHRTをしていなくても、子宮がん、乳がんはもとより、毎年、生活習慣病検診を受けるようにしてほしいと思います。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

何でも聞ける関係を 主治医とつくっておく、 それも患者のつとめ。(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』996号より

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