からだ

更年期かなと思う症状が出てきました。漢方薬で治したいのです。【86歳の現役婦人科医師 Dr.野末の女性ホルモン講座】

  • イラストレーション・小迎裕美子 撮影・岩本慶三 構成・越川典子
野末悦子さん 産婦人科医師、久地診療所婦人科医

Q.更年期かなと思う症状が出てきました。漢方薬で治したいのです。

野末先生、はじめまして。いつも連載を読んでいます。このページで、更年期になったら女性ホルモン補充療法(HRT)を選べることを知りました。私自身はとくに更年期症状を感じずにいましたが、53歳になって、めまいがあったり、肩こりがひどくなったり、不調を感じるようになりました。すぐにHRTではなく、まず漢方薬を試してみたいと思うのですが、どうお考えでしょうか。(M・Iさん 53歳 会社経営)

A.漢方から始めるのもいいと思います。HRTと併用もできます。

更年期障害に漢方薬を使うことはよくあります。ホルモン補充療法(HRT)と併用することも多いんですよ。HRTは、失われたエストロゲンを補充する「根本治療」であるのに対して、漢方薬は「対症療法」です。つらいのが肩こりなのか、めまいなのか、ホットフラッシュなのか、症状と体質を診ながら処方することになります。

漢方薬だけで治すと決めつけずに、経験豊富な更年期外来などで診察を受け、医師と相談しながら治療方針を決めることが大切です。

更年期でよく使われる漢方薬には、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸の3つ(左図参照)などがあります。一人ひとりの「証(体質)」を診て、処方されます。虚証の人は、冷え症でむくみやすい血虚(貧血など血が不足している状態)タイプ。実証の人は、がっしりした体形で、のぼせやほてりがある瘀血(血が滞っている状態)タイプ。中間証の人は、その間くらいの体形で、イライラや不安の大きい気滞(気が滞っている状態)タイプ。ですから、同じ症状でも、証によって違う漢方薬を処方されることがあります。友人がよく効くと言っていたのに、私にはまったく合わなかった、なんてことも起こるわけですね。

また、じっくり時間をかけて体質を改善するのが漢方薬と考えている人も多いようですが、その人に合った処方の場合は、1、2週間ほどで効果が出ることもあります。逆に、1、2カ月服用しているのに効果がない場合は、処方を変えたほうがよいかもしれませんね。経験豊富な医師を、と私がお伝えしたのは、そういった理由があるからです。

更年期障害と診断されれば、漢方薬もHRTも保険適用になります。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

【更年期障害によく使われる漢方薬】

●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
倦怠感、頭重、頭痛、めまい、肩こりなどに。芍薬(しゃくやく)、茯苓(ぶくりょう)、蒼朮(そうじゅつ)、当帰(とうき)、沢瀉(たくしゃ)などが含まれている。

●加味逍遙散(かみしょうようさん)
冷え症、月経不順などに。柴胡(さいこ)、山梔子(さんしし)、芍薬、甘草(かんぞう)、当帰などが含まれている。

●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
頭痛、めまい、のぼせ、肩こり、冷え症などに。桂皮(けいひ)、茯苓、芍薬、牡丹皮(ぼたんぴ)、桃仁(とうにん)などが含まれている。

一つの漢方薬に、複数の漢方エキスが含まれている。この3つは代表的な漢方薬だが、症状によって処方が変わってくる。

【証(体質)によって処方が変わる】

痩せ気味で筋肉が少なく、体力がない。肌は白いほうで、胃腸が弱い。寒がり、声は小さめ。
中肉で、虚証と実証の中間くらいのタイプが、中間証と診断される。
比較的がっしりした筋肉質タイプ。顔色はよく、胃腸は強く、便秘気味。暑がりで声は大きめ。
痩せ気味で筋肉が少なく、体力がない。肌は白いほうで、胃腸が弱い。寒がり、声は小さめ。
中肉で、虚証と実証の中間くらいのタイプが、中間証と診断される。
比較的がっしりした筋肉質タイプ。顔色はよく、胃腸は強く、便秘気味。暑がりで声は大きめ。

漢方薬も熟知する更年期外来を探しましょう(Dr.野末)

野末悦子(のずえ・えつこ)●産婦人科医師、久地診療所婦人科医。横浜市立大学医学部卒業。川崎協同病院副院長、コスモス女性クリニック院長、介護老人保健施設「樹の丘」施設長などをへて現職。

『クロワッサン』1003号より

※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は本体のみ(税抜き)の価格です。税込表記の商品は、配信日が2019年9月30日以前の記事は消費税8%、2019年10月1日以降に配信の記事は10%(軽減税率適用のものは8%)が含まれています。

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE