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Vol.60 親の介護が終わってから、何もする気が起きないでいます。【40歳からのからだ塾WEB版】

更年期には、エストロゲンの減少というホルモンの変化に、仕事の忙しさや親の介護などが重なることも多く、心の不調が現れることが珍しくありません。そこで今回は、更年期に起こりやすいメンタルの病気に注目してみました。

例えば、夢中で親の介護をしてきたけれど、終わった途端、気力、体力が尽きて、何もする気が起きない……。こんなとき、どう対処したらよいのでしょう。心の病気かどうかの見分け方、受診の目安、回復に必要なこと、予防などについて、心療内科医の伊藤克人さんに聞きました。

文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子 

うつ病と同様の治療で回復を図る
周囲の理解が不可欠

「荷下ろしうつ病」だとわかった場合には、どのような治療をするのでしょう。
伊藤さんによれば、通常のうつ病と変わりなく、①十分な休養、②薬物治療、③精神療法(カウンセリング)、そして④周囲の病気に対する理解が必要とのこと。
「特に④は大切です。治るペースには個人差があり、治療中は良くなったり悪くなったりを繰り返します。周囲が早く元気になってほしいと思って関わりすぎると、患者本人のペースを乱してしまいかねません。無理をさせないようにし、本人が自分のペースで治ることを、時間をかけて見守ることが必要です」

また、「治療中には、患者本人が、少し気分が晴れて外出しようという気持ちになる時期があります。そういうときには、家族は、無理のない範囲で外出に付き合うとよいでしょう。億劫になったら途中で帰るようにして、無理をさせないことが大切です」とも、話していました。

介護生活の中でも
自分の時間は確保する

最後に、荷下ろしうつ病の予防について、伊藤さんにアドバイスをいただきました。
「介護に夢中になって自分のことが二の次になると、少しずつ精神的な消耗へとつながります。介護は介護、自分の時間は自分の時間と分けて、自分のために必要なことはやっていくことです。このとき、親は、子供を親の犠牲にしたくはないだろうと考えることが大切です」

うつ傾向のチェックリスト

「心の病気かも?」と気づいたら、以下のチェックを試してみましょう。

資料提供:伊藤克人

うつ病のサインは、心だけでなく、体の不調にも現れることを知っておきましょう。


ご協力いただいた医師
伊藤克人さん 東急病院 健康管理センター所長・心療内科医長
いとう・かつひと●筑波大学医学専門学群卒業。心療内科医。専門は心身医学、産業医学、森田療法。産業医・労働衛生コンサルタントとしての活動実績も豊富。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

ライター、メノポーズカウンセラー 及川夕子
更年期、まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法も試してみたい!

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