からだ

Vol.57 ずっと腰痛なのですが、異常なしと言われます。【40歳からのからだ塾WEB版】

  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

運動が腰痛の特効薬になる
もう一つの理由

ここでちょっと一息。
運動をすると、「脳内鎮痛メカニズム」が働くことをご存知でしょうか。運動によって気持ちいい、楽しいという前向きな気持ちになると、脳からドーパミンという神経伝達物質が出て、脳内鎮痛物質のμ-オピオイドの放出を促します。このメカニズムが働くことで、ひざ痛や腰痛などの痛みが軽減される効果が期待できるとされています。つまり、私たちは自前の“痛み止めシステム”を持っていて、運動でそれが活性化するというわけです。痛みが慢性化し安静状態が長期化している人では、せっかくの痛み止めが働きません。こうした理由からも、運動を継続する効果は大きいわけです。

腰痛治療には漢方薬も使われる

ところで、腰痛の治療には、漢方薬が使われることもあります。
「ぎっくり腰など急性期の痛みには芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)、骨の老化による痛みには八味地黄丸(はちみじおうがん)、血行不良による痛みには疎経活血湯(そけいかっけつとう)と使い分けます」と津田さん。つらいときには、主治医に相談してみてもよいかもしれません。
また、「この治療中も、体を動かすことが大切なのは変わりません。腹筋、背筋を鍛える運動やストレッチなどを取り入れましょう」とのことでした。

こんな兆候があったら放置しない
危険な腰痛の見分け方

最後に、危険な腰痛の兆候について紹介します。
腰痛が出て痛みが強いうちは、痛み止めを使ってもOKとのことですが、鎮痛剤の服用をやめられない、安静時に痛い、熱がある、がんの既往歴があるなど、以下のような症状を伴う腰痛には、ほかの病気が隠れている可能性があります。「原因が特定していない段階での自己判断は禁物。一度、医療機関を受診しましょう」(津田さん)
女性の場合は、骨粗鬆症も腰痛の原因に。「予防や早期発見のためにも、閉経を迎えたら、骨密度検査を受けておくといいですね」(津田さん)

放置してはいけない腰痛チェック

「脊椎関節炎は安静時に痛みますし、がんの骨転移でも腰痛は起こり得ます。骨粗鬆症患者や副腎皮質ステロイドホルモンを服用している人は骨折しやすいです」(津田さん)

資料提供:津田篤太郎


ご協力いただいた医師
津田篤太郎さん 聖路加国際病院リウマチ膠原病センター副医長
つだ・とくたろう●京都大学医学部卒業。専門はリウマチ膠原病科・漢方診療。現代医学と漢方を取り入れた診療を実践。NHK『総合診療医ドクターG』への出演、医事指導も務める。

※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。

ライター、メノポーズカウンセラー 及川夕子
更年期、まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法も試してみたい!

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