からだ

Vol.53 夜中に何度も目が覚めてしまいます。【40歳からのからだ塾WEB版】

皆さんは、毎日ぐっすり眠れているでしょうか。一般的には、年齢を重ねると、寝つきが悪い、眠りが浅いなどの不眠の悩みが増えると言われていますよね。私は、若い頃のように夜遅くまで起きていられなくなりました。ベッドに入って「読書を……」と本を開いて読み始めた途端、睡魔に襲われ、ちっとも読書が進まないのが、最近の悩みです。
今回は、「夜中に何度も目が覚めてしまう」という中途覚醒の悩みについて、対処法を医師の白濱龍太郎さんに聞きました。
  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

そもそも女性の40〜50代は、不眠の悩みが出やすい時期です。
この世代は仕事、家庭、介護など役割が多く、忙しいために睡眠時間が削られがちなことが要因の一つ。加えて「眠りに必要なホルモンであるメラトニンの分泌は加齢とともに減っていきますし、更年期に入り女性ホルモンのバランスが乱れてくると、自律神経の働きも崩れ、睡眠トラブルを起こしやすくなります」と、医師の白濱龍太郎さん。

また、最近では、生活が不規則になることから起こる “現代型不眠” も増えているそうです。
例えば、子育て期に夜中に起きていたり、仕事で夜勤など交代制の勤務をしていると、その状況がクセになってしまい、通常の生活に戻っても、本来眠るべき時間に眠れなくなってしまうことがあるのだとか。ほかにも、夜更かし、暴飲暴食、運動不足なども、不眠を招くそうです。

睡眠は毎日の習慣だけに、繰り返しているとその状態に慣れてしまうということが起こり得るのですね。睡眠障害をそのままにしておくと、日中の眠気や不調につながり、思わぬ事故やトラブルを起こしかねません。きちんと対処して、ぐっすり眠ることを目指しましょう。

では、良い眠りとは、どのような睡眠のことを言うのか。改めて確認しておきましょう。

●睡眠はとにかく長く眠らないとだめ
●ゴールデンタイムに眠ることが重要

というのは、もう古い常識。
白濱さんによると、最新の常識として、以前よく言われていたゴールデンタイム(夜10時〜深夜2時)はさほど意識しなくてもよく、むしろ限られた睡眠時間の中で深く眠ること(質の良い睡眠をとること)のほうが、健康にとって重要であるとされています。

深い眠りの「深睡眠(徐波睡眠)」は、眠りに入ってから4時間以内に訪れ、この時間に脳の疲労物質の除去や体の修復などが行われるそう。つまり、最初の4時間で深睡眠を取れていれば、疲労の大部分は取ることができる、というわけです。「それには、普段の生活で睡眠と覚醒のバランスが取れていることや、メラトニンの分泌や体内時計がしっかり働いていることが重要です」(白濱さん)

ここで、なぜ人は眠くなるのか。睡眠のリズムをつくるメカニズムについてみていきましょう。
毎日ほぼ同じ時間に眠くなり、同じ時間に目覚めるという睡眠のリズムは「睡眠欲求」と「覚醒力」という2つのシステムのバランスによって維持されています。

睡眠のリズムをつくる2つのメカニズム

e-ヘルスネット「眠りのメカニズム」(厚生労働省)より作成

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