からだ

「骨密度70%」は、もう骨粗鬆症なのです。

骨ケアはまだ早いと思っているあなた。実は、骨こそ「健康と美の土台」ということがわかってきました。
  • 撮影・岩本慶三 イラストレーション・風間りさ  文・越川典子、高橋顕子
(左)スタイリスト 春原久子さん「骨の老化って、目に見えないから皆、油断していると思うんです」 (右)国際医療福祉大学臨床医学研究センター教授、山王メディカルセンター女性医療センター長 太田博明さん「減ってから増やすより、減らさないようにしたほうがいい」

太田博明さんと言えば、女性医療のパイオニア的存在。人生100年時代といわれる今、女性のウェルネスライフのため、骨粗鬆症予防の普及に力を入れている。対談する春原久子さんは、実は、これまで3度の骨折を体験。
●20年前1度目の骨折は足首。整形外科で治療。
●6年前2度目の骨折で、整形外科で治療。骨密度は70%。骨粗鬆症の治療はしなかった。
●2年前3度目の骨折。整形外科で治療するも治りが悪かった。
1年前に、太田さんのところで治療を開始。改善の効果が出てきたという。

春原久子さん(以下、春原) 太田先生に初めてお目にかかったとき、開口一番「骨粗鬆症になりやすい体形ですね」とおっしゃったんですね。たしかに、母親が骨粗鬆症だったので、本当にドキッとしたんです。

太田博明さん(以下、太田) 痩せている人は、どうしても骨に負荷がかかりにくいんですね。筋肉もりもりというタイプではないし、運動もあまりしていないように見受けられました。

春原 そのとおりです〜(笑)。今は治療を始めていますが、いい患者じゃないですよね、私。胃腸の調子が悪くて薬を飲めない時期もあったりして。

太田 いやいや。数字を見て(下表)、1年とちょっとで骨密度が7%増加しています。この調子で上げていけば、骨粗鬆症予備群も脱却できますよ。

1年で骨密度がここまで改善。骨粗鬆症の範囲に入ってしまった春原さんも、たった1年と少しで7%も骨密度が増えた。このまま治療をすすめていけば、80%を超すことも夢ではない。

春原 もし2回目の骨折のときに骨粗鬆症の治療をしていれば、こんなに減らずにすんだでしょうか?

太田 骨密度は測っていましたか。

春原 まだ70%もあるから大丈夫。そう思っていたんです。

太田 YAM値というのですが、若いときの骨密度に比較して70%以下はすでに骨粗鬆症なんです。70〜80%までが予備群。春原さんは、2度目の骨折のときには治療を始めていなければならなかった。3度目の骨折をして、調べたときは、YAMは63%になっていましたものね。

春原 知らない人、多いと思います。私も太田先生から説明を聞いてびっくりしました。

骨粗鬆症の診断基準(YAM)。健康な若い人(20〜44歳)の骨密度を基準(若年成人平均値=YAM100%)として考える。70〜80%でも、骨折部位によっては骨粗鬆症と診断される。資料提供:太田博明

春原 骨折して骨粗鬆症がわかるという人は多いのでしょうか。

太田 実は、そうなんです。皆、「自分は大丈夫」だと思っているんですよね。骨粗鬆症って高齢者の病気、まだまだ関係ないと思うかもしれませんが、50代で10人に1人、60代で3人に1人が骨粗鬆症になるんです。

春原 えっ、そうなんですか!

太田 だから、予防が大事なんです。減ってから増やすより、減らさないこと。ちょっと怖い話をしますね。骨粗鬆症で大腿骨骨折した人の5年生存率は約40%、白血病、肺・食道がんは40%以上。つまり、予後があまりよくないと言われるがんより気をつけるべきと見ることもできませんか。

日本の女性の骨粗鬆症の年代別発症率。50代ですでに骨粗鬆症は始まっている。そう考えると、女性にとって骨粗鬆症とは“よくある病気”の最たるものと考えたほうがよい。総務省人口推計より推定 作成・太田博明
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