[専門医に聞く子宮内膜増殖症]人生を左右する出血、早めのコントロールという手も。 | 医療と健康 | クロワッサン オンライン
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[専門医に聞く子宮内膜増殖症]人生を左右する出血、早めのコントロールという手も。

月経周期が変動する40代、50代。なかでも不安になるのが、突然の出血です。そのときどう行動するか、一緒に考えてみましょう。
  • 撮影・森山祐子 イラストレーション・小迎裕美子、川野郁代 文・越川典子、青山貴子
倉敷平成病院 総合美容センター 婦人科部長 太田郁子さん

子宮内膜症と更年期障害が専門の太田郁子さん。どちらの疾病も、女性のQOLを大きく左右することから、太田さんは早期治療を提唱してきた。

たとえば、10代、20代に好発する子宮内膜症。過多月経や重い月経痛に悩まされる場合が多いことで知られるが、それによって、受験や就職試験、運動などで実力が発揮できなかったり、会社勤めが困難だったり、不妊症へと移行したり、大きいダメージについては意外と知られていない。
「低用量ピルなどで早期治療することで、身体への負担が減り、人生に前向きに関わっていけるようになる。今は治療によるQOL向上という効果も、研究対象になっています(下図)」

女性の病気はQOLに影響する(子宮内膜症の例)。子宮内膜症を未治療で放置すると月経困難症や性交痛、不妊のほかに、教育や対人関係にまで影響が出る。QOLが著しく低下する。資料提供:太田郁子

ひと昔前は、痛みや我慢は当たり前とされた月経痛も、太田さんは「決して、我慢してはいけない」と言う。
「過多月経として症状に現れている中に、いろいろな病気が隠れています。放置せずに、治療を始めることで、その女性の一生のQOLを上げることができて、同時に重篤な病気を予防することになるんです」

今回は、とくに40代以降、気をつけるべき点を太田さんに聞いた。

無排卵が当たり前になる40代、そのリスクを知っておこう。

過多月経で考えられる疾病。1カ月程度の出血は機能性出血であることが多いが、器質性出血の場合は悪性や悪性関連の可能性もあるので、出血中に受診したい。作成:太田郁子

まず、「出血が止まらない」場合、その期間に注意してほしい、と太田さん。
「1週間なのか、1カ月なのか、3カ月か、半年続いているのか、必ず医師に伝えること。大まかな目安ですが、1カ月前後出血が続く場合は、機能性出血が多い。3カ月以上出血していたら器質性出血を疑いますが、その中でも良性関連の子宮筋腫、悪性関連の子宮体がんに大きく分かれます。悪性関連の中には、がんではないものがあります。それが、今回、皆さんに詳しくお伝えしたい子宮内膜増殖症なんです」

子宮内膜増殖症の説明の前に、女性の排卵周期のおさらいをーー。
卵胞期には、卵巣が卵胞を育てる→成熟した卵胞の殻からエストロゲンが分泌→排卵する。すると、排卵した卵胞の殻から黄体ホルモン(プロゲステロン)を作る→受精しなかったら→月経を起こす。
子宮内膜増殖症というのは、月経時にはがれ落ちるべき内膜が、子宮内で異常増殖している状態。その原因は『無排卵』です。排卵がないから内膜がどんどん厚みを増し、不定期に破綻出血を起こしたりするんですね」
40代、50代になると、よく「ホルモンが乱れて」というが、
「乱れの正体は、無排卵なんです。皆さん、エストロゲンが減っていることを指して話すことが多いのですが、エストロゲンは、排卵が起きても起きていなくても分泌されているんです。では、なぜ排卵しなくなるのか。毎月欠かさず排卵すれば、妊娠の確率は高くなる。けれど、45歳の私がいま妊娠したら、命にかかわることもある。だから、人間は30代後半から40代にかけて、月経はきても排卵の回数だけを落としていっているんです。それが、排卵のない無排卵周期症。実は、40代以降では、その確率はかなり高くなります

閉経まで、およそ5〜10年ある年齢で、不定期だが月経はある。早かったり遅れたり、量が多かったり少なかったり、期間も長かったり短かったり。でも、エストロゲンが分泌されているのだから、何が問題なのかーー。

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