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不正出血したら、すぐ受診。子宮体がんは治りやすいがんです。

月経周期が変動する40代、50代。なかでも不安になるのが、突然の出血です。そのときどう行動するか、一緒に考えてみましょう。

撮影・森山祐子 イラストレーション・小迎裕美子、川野郁代 文・越川典子、青山貴子

高齢化と食生活の欧米化で子宮体がんが増加。

2016年子宮体がん好発年齢。子宮体がんの好発年齢は50代がダントツでトップ。どの年代もステージⅠで発見されることが多い。出典:日本産科婦人科学会雑誌vol.70 No.4 April 2018/07/01
2016年子宮体がん好発年齢。子宮体がんの好発年齢は50代がダントツでトップ。どの年代もステージⅠで発見されることが多い。出典:日本産科婦人科学会雑誌vol.70 No.4 April 2018/07/01

そもそも子宮体がんの発生には、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が大きく関わっている。月経周期が安定し、2つのホルモンのバランスがとれていれば、子宮体がんは起こりにくい。
しかし、ストレスなどで無排卵月経になったり、閉経を迎えたりすることで、子宮内膜の増殖を抑制するプロゲステロンの分泌が減少してくると、子宮体がんになりやすくなるのだ

もう一つ、子宮体がんが増加している理由として、日本人の寿命がのびて高齢化が進んだことと、食生活の欧米化などが考えられる、と加藤さんは指摘する。
「食生活の欧米化によって、加齢とともに肥満や糖尿病、高血圧などになる女性が増えました。すると、脂肪組織で男性ホルモンをエストロゲンに変えるアロマターゼという酵素が働き、エストロゲンが合成されます。しかし、プロゲステロンは分泌されませんから、がんが発生しやすくなるのです」

子宮体がんは今後も増え続けると予想されている。罹患率が一番多い50代を筆頭に、60代、70代になっても安心はできないという。
「日本人の閉経年齢は平均51歳。55歳を過ぎて出血があれば、子宮体がんを疑ったほうがいいでしょう。なぜか閉経するとがんにならないと思っている女性がいるのですが、子宮体がんは、40代よりも60代のほうが多く、40代と70代は同じくらい。つまり、子宮体がんに定年はないんです」

子宮体がんには2タイプあり、年代によって罹患するタイプに傾向がある。エストロゲンに影響される1型と、エストロゲンが関与しない2型に分かれ、50代くらいまでは1型が多く、60代以降になると2型が増える。
1型は、正常な細胞がエストロゲンの影響で、子宮内膜増殖症という前がん病変になり、その一部が体がんに進む。進行は遅く、転移も少ないので悪性度が低いのが特徴。2型は進行が早くてリンパ節転移しやすく、悪性度が高い傾向にある。
「圧倒的に多いのは1型です。しかし60代以降がなりやすい2型が増えているのも事実。その理由は平均寿命がのびているからでしょう。日本人女性の平均寿命は87・14歳なので、閉経後も35年以上生きるため、羅患する可能性は否めません」

子宮体がんのタイプ1とタイプ2の違い。40〜50代に多いのは、エストロゲンに影響を受ける1型で、60代以降は2型が増える。 1型に比べて、2型は広がり方が深く、リンパ節への転移も多いため悪性度が高い。出典:国立がん研究センター がん対策情報センター
子宮体がんのタイプ1とタイプ2の違い。40〜50代に多いのは、エストロゲンに影響を受ける1型で、60代以降は2型が増える。 1型に比べて、2型は広がり方が深く、リンパ節への転移も多いため悪性度が高い。出典:国立がん研究センター がん対策情報センター
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