からだ

出血が止まりません、何が起きているか心配です。

  • 撮影・森山祐子 イラストレーション・小迎裕美子、川野郁代 文・越川典子、青山貴子

慌てず、怖がらず。行動は早いほうがいい。

ヘルスケアディレクター 越川典子さん。ヘルスリテラシーを上げるという自助努力も必要ですね。

越川 『働く女性の健康増進調査』によると、月経に関する異常症状があっても、「何もしていない」という女性が44.6%もいるんです。

小山 ですから、女性は20〜30代で、婦人科のパートナードクターをもつことをすすめます。不安があればすぐ相談できる。婦人科系の検診の結果なども、何年にもわたって記録を残せる。一生つきあえる関係は、メリットがとても大きいのです。

小迎 欧米では、ホームドクターが必ずいると聞きますよね。内科のドクターではダメですか。

小山 日本では、妊娠して初めて婦人科へ行く人が多いですが、もっと早く婦人科医を主治医にするほうが合理的なんです。何かあっても、そこでスクリーニングして、問題があれば他科で診てもらうようにすればいいのですから。また、さきほど黄色いおりものという話が出ましたが、不正出血というのは、鮮血ばかりではないと覚えておいてくださいね。おりものに血が混じれば黄色や茶色に見えますから。

越川 そういったことも私たちは知らない。ですから、情報収集をする努力も必要ですね。病気をカミングアウトして、「治療に有益だと思う情報があったら教えてください」と仲間にメールをしてきた友人がいたのですが、その姿勢は尊敬しました。実際、いい情報も集まってくる。

イラストレーター 小迎裕美子さん。手術をして、大変な思いをしている女性が多いと知りました。

小迎 私は友人・知人とネットの両方で。いい情報で励まされたことが多かったですね。「全摘したけれど、とても調子がいい」とか、「親の介護ができたのは手術したおかげだ」とか。「心配しなくて大丈夫」という言葉もありがたかったですね。でも逆に、聞きたくない情報もいっぱいあったのも事実で……。

越川 どんなことがありました?

小迎 子宮筋腫になるのは、何かが溜まっているからだとか。全摘手術をすると、もう女ではなくなるとか。

小山 何があっても、女性であることは変わりません。もし、女性ホルモンがなくなることをもって、女性でなくなると言っているなら、不正確ですね。女性ホルモンを分泌するのは脳ではなくて、卵巣なので。

越川 正確な知識がないと、何でも怖くなる。怖いと、正しい情報かどうか判断しにくくなる。そうすると、病院に行くタイミングを逃すなど、行動まで制限されてしまいますね。

小山 そう。その人のQOLにまで大きく影響してしまうんですね。たとえば、高齢の女性で、子宮脱といって子宮が腟の外に出てきてしまう病気があって、痛みが激しいんです。が、恥ずかしくて病院に行かないで我慢している人が実は少なくないのです。

M いくつになっても、内診が恥ずかしいという気持ち、よくわかります。私も、考えてみればお腹の痛みはずっとあったのに、病院に行くのを先延ばしにしていた。手術の説明を受けた日、自分がしてきたことを後悔して、帰り道で涙が出てきたことを覚えています。

小迎 この程度で病院に行ったら、呆れられるのではないかと思った。そういう声も、よく聞きますね。

M 自分の中にある思い込みに気づいたし、健康を過信しちゃいけないということを知った、いい体験でした。

小山 何よりも専門家を頼ることです。

ホルモン補充療法(HRT)の薬。エストロゲンとプロゲステロンの2種類。合剤もある。飲む、貼る、塗るの3タイプが選べる。

小迎裕美子(こむかい・ゆみこ)●イラストレーター。独自のタッチで描く女性が人気。紙媒体のほかTV、広告、ウェブでも活躍。コミックエッセイ『本日もいとをかし!! 枕草子』等、著書多数。

小山嵩夫(こやま・たかお)●小山嵩夫クリニック院長、産婦人科医。更年期医療の第一人者。更年期と加齢のヘルスケア学会理事長、日本サプリメント学会理事長。著書に『もっと知りたい「女性ホルモン」』等。

越川典子(こしかわ・のりこ)●ヘルスケアディレクター。更年期と加齢のヘルスケア学会幹事。国家資格キャリアコンサルタント、メノポーズカウンセラーとして女性の支援を続けている。

『クロワッサン』978号より

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