睡眠コンサルタントに聞く、快眠のための「布団」の見直しポイント。
撮影・大嶋千尋 文・嶌 陽子 イラストレーション・山本由実
[布団]素材、質感、硬さ、色。あらゆる角度から吟味したい。
ぐっすり眠るために整えたい、そもそも「布団内環境」とはいったい何?
横になった際に、人と寝具との間には、自然とすき間ができる。このすき間の温度や湿度を、専門的には環境と呼ぶ。
「これが、睡眠の質を大きく左右することが、実験結果によって明らかになっています。一年を通じての理想は、温度が33±1℃、湿度が50±5%。この環境を保つために、寝室内の温度や湿度を適切に管理することが必要なのです」(友野さん)
室温の目安は19℃(冬)〜27℃(夏)、湿度は60%前後を維持するとよい。
「夏場は、26〜27℃の室温が理想。日中が暑かった場合は、天井や壁にこもった熱を取り除くために、就寝の1時間ほど前からエアコンを25℃に設定して壁まで冷やします。寝る際には27℃くらいまで上げ、かつ3時間ほどで切れるようにタイマーをかけましょう。ただし、熱帯夜などは、一晩じゅう27℃でつけたままにしておくのが賢明。ベッドと同じ高さの場所に温湿度計を置いて、常にチェックする習慣をつけるといいでしょう」
季節に合わせて、寝具の素材や組み合わせを変えることも寝床内環境を整えるための重要なポイント。夏は湿気を吸い取り、かつ放出しやすい麻素材など。冬は保温性の高いウールや羽毛などがおすすめだ。
「特に冬の掛け布団は、羽毛がいいですね。柔らかく、身体に沿って密着するので、肩口や足元にすき間ができず、適切な寝床内環境を維持できます」
もう一つ、悩みの種になりがちなのが、夫婦で寝室を共にしている場合。体温の差などから、それぞれ快適と感じる室温が異なるというケースだ。
「そんなときは特に、室内の温・湿度だけでなく、それぞれに合った寝具で調整することをおすすめします。最近は、ごく薄手の羽毛布団も出ています。寒がりの人は、夏でもそういったものを上手に取り入れるといいですよ」
友野なお(ともの・なお)●睡眠コンサルタント。全国での講演活動や企業の商品開発等のコンサルティングを行う。著書に『正しい眠り方』(WAVE出版)など多数。
『クロワッサン』977号より
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