中国の料理というと炒めるものも多く、つい油の摂りすぎを気にしてしまうが、料理研究家のウー・ウェンさんは北京に伝わる家庭料理を作り続け、52歳の今もスリムなプロポーションを保っている。一体、どんなものを普段、食べているのだろうか。
「これを食べなきゃいけないというのはないんです。健康のために無理して食べてもストレスがたまるだけですから。とにかく私は、お腹がすかないときは絶対、食べない。食べ物は義務じゃないので、お昼になったから食べるなんてしない。そんなことを続けていると、悪循環になって、いつまでもお腹がすかないし、腸のどこかに余分なものがたまってしまって、気分もすっきりしないでしょう。食べないほうが体が動く。ちゃんとお腹がすいてから食べると、食べ物はおいしいですよ」
41歳のときに夫を亡くし、先々のことが見えずに不安な日々を経験した後、子どもたちのためにも健康を第一に考えるようになった。そこに直結するのが食べ物であり、食べ方だった。
「何より自分のリズムに合った食べ方を見つけることが大事。一人一人、体型も体質も違うし、少なめにごはんを食べても、太るときは太るでしょう。私は、朝5時に起きて、子どもたちのごはんを作ったりしていると、7時にはお腹がすくから、朝はたっぷり食べるんです。デザートも必ず。昼は少しだけ食べて、夜は、子どもたちにはたくさん作るんですが、私は野菜中心で控えめに。半分くらい、お腹がすいたところで寝るのが健康的なんです」
睡眠時間は長くて5時間だが、体に負担をかけない食べ方をしているため、「全然つらくない」という。きっと、油も控えめにしているのでは?
「そんなことはないですよ。人間には養分と水分が必要。だから、油はいいものを使うようにしています。わが家では、太白というごま油を使っているんですが、生搾りだから匂いがなく、サラダ油代わりに使っています。それから、オリーブオイルはオルチョ・サンニータを。これは収穫時期によって風味が違うんですが、それがいい。もちろん、余分な油は摂らないようにしていますが、あとは塩も大事。シンプルにおいしく野菜を食べるには、基本の調味料が大事だと思うんです」