—そうは言ってもホルモン治療に抵抗を感じる日本人女性は多いです。
高尾 女性の平均寿命が平均の閉経年齢を超えたのは1947年。戦後、急激に平均寿命が延びたためで、閉経後の問題がここ30年くらいで出始めました。そのため閉経後の治療に関する歴史はここ20年程度。
エストロゲン様作用が期待できる自然由来成分で報告されてきたのは漢方や高麗人参、ペルシャザクロ、リコリス、ローヤルゼリーですが、エビデンスが少ない。そういう中で大豆イソフラボンを腸の中で代謝して作るエクオールがエストロゲン様作用を持つこと、女性にいいことがわかってきました。しかしエクオールを作るには特定の腸内細菌が必要で、この腸内細菌を持っている人は2人に1人。エクオールを作れる人は食事に大豆食品を取り入れていけば、更年期の症状が緩和されます。一方でエクオールが作れない人は、大豆を乳酸菌で発酵させているエクオール含有サプリを取り入れるのはいかがでしょうか。
—エクオールは更年期障害以外にも効果があると聞きました。
高尾 メタボやシミ・シワ、骨粗しょう症の改善ができることもすでに報告されています。そして食品ですから、発がんについての心配がいりません。ホルモン治療に抵抗のある方にもおすすめです。それ以外にもPMSが強い女性はエクオールが作れない方の割合が高いことがわかっていて、婦人科医の間では閉経前の女性にも有効かも、と話題になっています。また閉経後の関節のきしみに対しても有効ですし、婦人科以外にも整形外科や耳鼻科でも話題になっており、一時的なブームや民間療法の域にはとどまらないものとして注目されています。