からだ

Vol.30 更年期高血圧と言われ、血圧が安定しません。【40歳からのからだ塾WEB版】

  • 文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

みなさんは、血圧を気にしたことはありますか?
更年期は、女性にとって体の変わり目。血圧も例外ではなく、40歳ぐらいまでは血圧が低めでも、更年期に入ると変動しやすくなり、やがて数値が上がっていく……というケースは少なくないようです。
そこで今回は、更年期高血圧に注目してみたいと思います。
更年期に起こる血圧の変化は、「血管の老化が始まっているよ。早めに気づいて」という、カラダからのサインです。特徴や対処法を知っておき、早めに対策を取りましょう。

女性の高血圧は更年期から始まります

まずは、データを1つご紹介しましょう。
血圧が少し高め(130〜139/85〜89mmHg)の予備群も含めると、女性で高血圧の人は、40代では4人に1人。ですが、50代になると2人に1人と急に増えます(平成25年国民健康・栄養調査)。「高血圧の始まりは更年期」といっても過言ではありません。

さて、「血圧」とは、心臓から送られた血液が、血管壁に内側から与える圧力のことを言います。血圧を決める主な要因は、心拍出量(心臓が1回の収縮で送り出す血液)と末梢血管抵抗(末梢の細い血管での血液の流れにくさ)です。

血圧診療や血圧変動に詳しい医師の苅尾七臣さんによると、血圧を上昇させる要因は主に、①加齢、②交感神経への刺激、③塩分の多い食事の3つだそうです。

1つめの「加齢」については、年齢とともに血管が老化して硬くなると血圧の上昇を招くということが言えるかと思います。女性の場合は、血管の老化に女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少が関係しています。
「エストロゲンには血管を柔軟に保つ・拡張させるなどの働きがありますが、更年期以降はエストロゲンが減少し、閉経を境に卵巣からの分泌は亡くなります。このころから女性は、血管のしなやかさが徐々に失われ、血圧が上がりやすくなっていきます」(苅尾さん)。

2つ目の要因は「交感神経への刺激」です。交感神経が刺激されると、心拍出量が増えたり、血管が収縮するために血圧の上昇が起こりますが、ストレスや睡眠不足、寒さなどが交感神経を刺激する要因になるそうです。「ストレスで血圧が上がる」というのは本当なんですね。

そして3つ目。塩分の多い食事が血圧を上げてしまうことは、みなさんもご存知ですよね。ちなみに、高血圧予防のために推奨されている女性の塩分摂取量は1日に6g未満。塩だと小さじ1杯で5〜7g。これを知っておくだけでも減塩の目安になります。

上がったり下がったりを繰り返す不安定さが
更年期高血圧の特徴

では、更年期高血圧とは、どのような状態かというと、「血圧が不安定で変動しやすいのが特徴」だそうです。

体の中では

 1)エストロゲンが減少し、血管のしなやかさが失われる時期に入る
 2)ホルモンバランスの乱れから、自律神経のバランスが崩れやすくなる
こんな変化が起きています。
また、最近の研究で、更年期にホットフラッシュがある女性は血圧が高めになることがわかってきました。
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