【ヨガのポーズ82】“遊ばせる” 胸膝位のポーズ——Dr.高尾美穂のカラダとココロの整え方
どんなときも、あえて遊ばせておく部分をもちたい。──合理的にものごとを進めれば、ムダがない。本当でしょうか? ムダの中に、遊びがあり、遊びの中から思いがけない価値が生まれることもあります。
撮影・森山祐子 イラストレーション・SHOKO TAKAHASHI 構成&文・越川典子
胸膝位(きょうしつい)のポーズ
股関節の真下に膝がくるようにね
両手両膝を床につけ、お尻を上げながら肘、肩、胸とあごも床につけます。曲げるのは、股関節です。膝が、ちょうど股関節の真下にくるようにしましょう。深い呼吸を続けながら8秒。
※腰痛のある人は避けてね。
膝、肘、頭がしっかり安定している中、唯一、指先だけが「遊んでいる」状態、つまり可動できる部分なのがわかるでしょうか。
この「遊ばせている」部分がとても重要なんです。実際にこのポーズをとってみるとわかります。少しずつ、遊んでいる指先を前へと動かしてみると、じりじりと肩回りや背筋が伸びてくるのが感じられると思います。
遊びがあるから、動ける──。
一見、ムダなことのように思える「遊び」ですが、言葉を変えれば、「間」とか「余裕」と言ってもいいかもしれません。実は、人生には欠かせない要素だと思っています。たとえば、車のハンドルのように、あえて遊ばせていることで、加減や調整ができているわけです。文化や芸術はもとより、仕事面でも遊びは不可欠です。何ごとかに向かっているときこそ、あえてどこかに「遊ばせておく」部分をもつようにしたいものですね。
全身がリラックスでき、お腹周りの緊張を和らげる効果があることから、逆子を治す治療として以前は知られていたこのポーズ。ポイントは、背骨のしなり。曲げるのは腰ではなく、股関節。股関節の真下に膝がくるようにするのがコツです。
『クロワッサン』1151号より
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